「書写山の社僧正」をうまく読むコツ
書写山の社僧正
しょしゃざんのしゃそうじょう
早口言葉難易度★★★☆☆


「外郎売口上」において、
外郎の丸薬を口に含むと舌のまわりがよくなる、
という実演のくだりで登場する早口言葉のひとつです。
書写山というのは、
兵庫県姫路市にある山で、
その山上には西国三十三所27番、天台宗別格本山の圓教寺があり、
書写山というと、
この寺のほうを指すことも多いようです。
書写山の名の由来は、
素盞鳴尊が降り立ったという伝説から、
「スサ」から転訛したものという説が有力です。
僧正は、
僧尼を統率し諸寺を管理する僧の最高位。
社僧正とは、神社で修行したお坊さん、という意味があるそうですが、
私は詳しくは知りません。ご存じでしたら教えて下さい。

早口言葉のひっかけの代表格「連続する音」

では、早口言葉としての特徴を見ていきますと、
典型的なひっかけポイントを備えた、音の並びになっていますね。
登場する音は、
「ン」「ノ」以外は、サ行関係。
ヤユヨを含む拗音として、
「ショ」「シャ」
濁音+拗音の「ジョー」
濁音の「ザ」
それに「ソ」。
初めに「ショシャ」という拗音が連続することから、
音を出そうとする口の中が、拗音に適応した状態になったところへ、
拗音ではない「ザ」が登場するという形。
ここで「ショシャジャン」になってしまうというのが、
第一のひっかけポイントです。

早口言葉の代表的なひっかけ「出しやすい音のほうに流れる」

第二のひっかけポイントも同様に、
「シャソージョー」で、
「シャ」の後に続く「ソ」。
「シャ」と「ソ」を自分で出し分けてみるとわかるのですが、
一見、同じように見える音も、
出し方が全然違うんですよね。
シャシュショが、
上顎前方の硬口蓋に息を当てるのに対し、
サシスセソ、ザジズゼゾは、
前歯を一旦合わせて、隙間から息を強く吐き出すことで、音を出しています。
どちらの方が労力がかかるかといえば、
もちろん、シャシュショよりもサシスセソ、ですよね。
早口言葉のひっかけの特徴、その2、
口は怠けやすく、楽な発音をしたがるものです。
だから、
「シャショージョー」になってしまうんですね。

ショシャザンノシャソウジョーを上手く読むコツ

これまでも「話し方のコツ、心技体」で
繰り返しお伝えしてきましたが、
早口言葉を上手く読みたい時に圧倒的に効果を発揮するのは、
「気持ち区切ること」です。
ショシャザンノシャソウジョーの場合なら、
シャとザの間、
シャとソの間です。
気持ち区切ることで、
口の形がリセットされますし、次の音への集中力が高まります。
そして、
この言葉に特化したコツで言えば、
「ザ」と「ソ」を言う時に、
前歯を意識すること。
前述のように、シャシュショとサシスセソでは、
口の中で音を作る場所=調音点が全く違いますから、
音を出す位置の違いを体で覚えておけば、
うっかりシャシュショに釣られることも少なくなります。
もっと正確な音を出したいなら、
前歯だけでなく口全体の形を整えること。
「ザ」では、
しっかり前歯を合わせてから、口を大きく空けるア段の口の形にすること、
「ソ」では、
上唇を前方に押し出すような気持ちで口を尖らせて、明らかにオ段の口の形にすることです。
このように、
発音を口の形で覚えておく、というのも、
早口言葉の対処法として有効だと思います。

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