アナウンサー歴30年弱で会得した技術と考え方

外郎売(ういろううり)口上全文(読みがな付き)


 「外郎売口上」

(外郎売には諸説あります。
極力併記したいと思いますが、至らない点はご容赦ください。リンクが張られているものは早口言葉解説が有ります。)

 

拙者親方と申すは、お立ち会いの中にご存知のお方もござりましょうが、
せっしゃおやかたともうすは、おたちあいのうちにごぞんじのおかたもござりましょうが、

お江戸を発って二十里上方、
おえどをたってにじゅうりかみがた、

相州小田原、一色町をお過ぎなされて、青物町を登りへお出でなさるれば、
そうしゅうおだわら、いっしきまちをおすぎなされて、あおものちょうをのぼりへおいでなさるれば、

欄干橋虎屋藤右衛門、只今は剃髪いたして、円斎と名のりまする。
らんかんばしとらやとうえもん、ただいまはていはついたして、えんさいとなのりまする。
元朝より大晦日まで、お手に入れまする此の薬は、
がんちょうよりおおつごもりまで、おてにいれまするこのくすりは、

昔、陳の国の唐人、外郎という人、わが朝に来たり、
むかし、ちんのくにのとうじん、ういろうというひと、わがちょうにきたり、

帝へ参内の折から、此の薬を深く籠め置き、
みかどへさんだいのおりから、このくすりをふかくこめおき、

用ゆる時は一粒ずつ、冠のすき間より取り出す。
もちゆるときはいちりゅうずつ、かんむりのすきまよりとりいだす。

依って其の名を帝より「透頂香」と賜る。
よってそのなをみかどより「とうちんこう」とたまわる。

即ち文字は(には)、「透き頂く香」(頂き透く香)と書いて、とうちんこうと申す。
すなわちもじは(には)「すきいただくにおい」(いただきすくにおい)とかいて、とうちんこうともうす。

只今は此の薬、殊の外世上に広まり、ほうぼうに偽看板を出だし、
ただいまはこのくすり、ことのほかせじょうにひろまり、ほうぼうににせかんばんをいだし、

イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、いろいろに申せども、
いやおだわらの、はいだわらの、さんだわらの、すみだわらのと、いろいろにもうせども、

平仮名を以って「ういらう」と致せしは(記せしは)、親方円斎ばかり。
ひらがなをもって「ういろう」といたせしは(しるせしは)、おやかたえんさいばかり。

もしやお立ち会いの中に、熱海か塔の沢へ湯治においでなさる(なさるる)か、
もしやおたちあいのうちに、あたみかとうのさわへとうじにおいでなさる(なさるる)か、

又は伊勢参宮の折からは、必ず角違いなされまするな。
またはいせさんぐうのおりからは、かならずかどちがいなされまするな。

お上りならば右の方、お下りならば(なれば)左側、
おのぼりならばみぎのかた、おくだりならば(なれば)ひだりがわ、

八方が八つ棟、おもてが三つ棟玉堂造り、
はっぽうがやつむね、おもてがみつむねぎょくどうづくり、

破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、系図正しき薬でござる。
はふにはきくにきりのとうのごもんをごしゃめんあって、けいずただしきくすりでござる。

イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、
いやさいぜんよりかめいのじまんばかりもうしても、

ご存知ない方には、正身の胡椒の丸呑み、白河夜船。
ごぞんじないかたには、しょうじん(しん)のこしょうのまるのみ、しらかわよふね。

さらば一粒食べかけて、
さらばいちりゅうたべかけて、

其の気味合いをお目にかけましょう。
そのきみあいをおめにかけましょう。

先ずこの薬を、かように一粒舌の上へ(に)のせまして、腹内へ(に)納めますると、
まずこのくすりを、かようにいちりゅうしたのうえへ(に)のせまして、ふくないへ(に)おさめますると、

イヤどうも言えぬわ、胃心肺肝がすこやかに成って(なりて)、
いやどうもいえぬわ、いしんはいかんがすこやかになって(なりて)、

薫風咽喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。
くんぷうのんどよりきたり、こうちゅうびりょうをしょうずるがごとし。

魚、鳥、きのこ、麺類の食い合せ、
うお(ぎょ)、とり(ちょう)、きのこ、めんるいのくいあわせ、

其の外、万病即効あること神の如し。
そのほか、まんびょうそっこうあることかみのごとし。

さて、この薬、第一の奇妙には、
さて、このくすり、だいいちのきみょうには、

舌のまわること(が)、銭ごまがはだしで逃げる。
したのまわること(が)、ぜにごまがはだしでにげる。

ひょっと舌が廻り出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。
ひょっとしたがまわりだすと、やもたてもたまらぬじゃ。

そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわって来たわ、まわって来るわ。
そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。

あわや咽喉、さたらな舌に、かげさ歯音。
あわやのんど(のど)、さたらなぜつに、かげさしおん。

はまの二つは唇の軽重、開合さわやかに、
はまのふたつはくちびる(しん)のけいちょう、かいごうさわやかに、

あかさたな、はまやらわ、おこそとの、ほもよろを、
あかさたな、はまやらわ、おこそとの、ほもよろを、

一つへぎ、へぎに、へぎ干し、はじかみ。
ひとつへぎ、へぎに、へぎほし、はじかみ。

盆豆、盆米、盆ごぼう。
ぼんまめ、ぼんごめ、ぼんごぼう。

摘み蓼つみ豆つみ山椒、
つみたでつみまめつみさんしょう、

書写山の社僧正。
しょしゃざんのしゃそうじょう。

小米(粉米)のなま噛み、小米のなま噛み、こん小米のこなまがみ。
こごめのなまがみ、こごめのなまがみ、こんこごめのこなまがみ。

繻子ひじゅす、繻子しゅちん。
しゅすひじゅす、しゅすしゅちん。

親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親かへえ子かへえ、子かへえ親かへえ。
おやもかへえ、こもかへえ、おやかへえこかへえ、こかへえおやかへえ。

古栗の木の古切口。
ふるくりのきのふるきりぐち。

雨合羽か晩(番)合羽か。
あまがっぱかばんがっぱか。

貴様の脚絆も皮脚絆、我等の脚絆も皮脚絆。
きさまのきゃはんもかわぎゃはん、われらのきゃはんもかわぎゃはん。

しっかわ袴のしっぽころびを、三針はりながにちょと縫うて、縫うてちょとぶんだせ。
しっかわばかまのしっぽころびを、みはりはりながにちょとぬうて、ぬうてちょとぶんだせ。

かわら撫子野石竹。
かわらなでしこのせきちく(のぜきちく)。

のら如来のら如来、三のら如来、六のら如来。
のらにょらいのらにょらい、みのらにょらい、むのらにょらい。

一寸先の(一寸の)お小佛にお蹴つまずきゃるな。
ちょとさきの(いっすんの)おこぼとけにおけつまずきゃるな。

細溝にどじょにょろり。(にょろり、にょろり)
ほそみぞにどじょにょろり。(にょろり、にょろり)

京の生鱈、奈良、生まな鰹、ちょと四五貫目。
きょうのなまだら、なら、なままながつお、ちょとしごかんめ。

お茶立ちょ、(茶立ちょ、)ちゃっと立ちょ、茶立ちょ、
おちゃたちょ、(ちゃたちょ)、ちゃっとたちょ、ちゃたちょ、

青竹茶せんでお茶ちゃ(っ)と立ちや(ゃ)。
あおたけ(だけ)ちゃせんでおちゃちゃ(っ)とたちや(ゃ)。

来るわ来るわ何が来る、高野の山のおこけら小僧、
くるわくるわなにがくる、こうやのやまのおこけらこぞう、

狸百匹、箸百ぜん。天目百ぱい、棒八百本。
たぬきひゃっぴき、はしひゃくぜん。てんもくひゃっぱい、ぼうはっぴゃっぽん。

武具馬具ぶぐばぐ三ぶぐばぐ、合わせて武具馬具六ぶぐばぐ。
ぶぐばぐぶぐばぐみぶぐばぐ、あわせてぶぐばぐむぶぐばぐ。

菊栗きくくり三きくくり。合わせて菊栗六きくくり。
きくくり(ぐり)きくくり(ぐり)みきくくり(ぐり)。あわせてきくくり(ぐり)むきくくり(ぐり)。

麦ごみむぎごみ三むぎごみ、合わせて麦ごみ六むぎごみ。
むぎごみむぎごみみむぎごみ、あわせてむぎごみむむぎごみ。

あのなげしの長薙刀は誰が長薙刀ぞ。
あのなげしのながなぎなたはたがながなぎなたぞ。

向こうのごまがらは荏の胡麻殻か真胡麻殻か、あれこそほんの真胡麻殻。
むこうのごまがらはえのごまがらかまごまがらか、あれこそほんのまごまがら。

がらぴいがらぴい風車。
がらぴいがらぴいかざぐるま。

おきゃがれこぼし、おきゃがれこぼうし、ゆんべもこぼして、又こぼした。
おきゃがれこぼし、おきゃがれこぼうし、ゆんべもこぼして、またこぼした。

たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ。
たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ。

たっぽたっぽ、一丁だこ(干だこ)、落ちたら煮て食お。
たっぽたっぽ、いっちょうだこ(ひいだこ)、おちたらにてくお。

煮ても焼いても食われぬものは、
にてもやいてもくわれぬものは、

五徳、鉄きゅう、金熊どうじに、石熊、石持、虎熊、虎ぎす(きす)。
ごとく、てっきゅう、かなくま(ぐま)どうじに、いしくま(ぐま)、いしもち、とらくま(ぐま)、とらぎす(きす)。

中にも東寺の羅生門には、茨木童子が、うで栗五合、つかんでおむしゃる。
なかにもとうじのらしょうもんには、いばらぎどうじが、うでぐりごんごう、つかんでおむしゃる。

かの頼光の膝元去らず。
かのらいこうのひざもとさらず。

鮒、きんかん、椎茸、定めてごたんな、そば切り、そうめん、うどんか愚鈍な小新発知。
ふな、きんかん、しいたけ、さだめてごたんな、そばきり、そうめん、うどんかぐどんなこしんぼち。

小棚のこ下の小桶に、小味噌がこあるぞ、小杓子こもって、こすくってこよこせ。
こだなのこしたのこおけに、こみそがこあるぞ、こしゃくしこもって、こすくってこよこせ。

おっと合点だ、心得たんぼの、
おっとがてんだ、こころえたんぼの、

川崎、神奈川、程ヶ谷、戸塚は走って行けば、やいとを摺りむく。
かわさき、かながわ、ほどがや、とつかははしっていけば、やいとをすりむく。

三里ばかりか、藤沢、平塚、大磯がしや、
さんりばかりか、ふじさわ、ひらつか、おおいそがしや、

小磯の宿を七つ起きして、早天そうそう、相州小田原透頂香。
こいそのしゅくをななつおきして、そうてんそうそう、そうしゅうおだわらとうちんこう。

隠れござらぬ、貴賎群衆の花のお江戸の花ういらう。
かくれござらぬ、きせんぐんじゅ(じゅう)のはなのおえどのはなういろう。

あれあの花を見て、お心をお和らぎやという。
あれあのはなをみて、おこころをおやわらぎやという。

産子這子に至るまで、このういらうのご評判、
うぶこはうこにいたるまで、このういろうのごひょうばん、

ご存知ないとは申されまいまいつぶり、角出せ、棒出せ、ぼうぼうまゆに、
ごぞんじないとはもうされまいまいつぶり、つのだせ、ぼうだせ、ぼうぼうまゆに、

うす、杵、すりばち、ばちばちぐゎらぐゎらと、
うす、きね、すりばち、ばちばちがらがらと、

羽目を外して今日おいでの何れも様に、
はめをはずしてこんにちおいでのいずれもさまに、

上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せい引っぱり、
あげねばならぬ、うらねばならぬと、いきせいひっぱり、

東方世界の薬の元締、薬師如来も照覧あれと、ホホ、敬って、
とうほうせかいのくすりのもとじめ、やくしにょらいもしょうらんあれと、ほほ、うやまって、

ういらうはいらっしゃりませぬか。
ういろうはいらっしゃりませぬか。

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