話し方を綺麗にするなら「音を聞く耳を作る」ことが必要
人間は意外に、自分の思った通りのことを実行できていない
自分の体に染み付いた訛りを、
一旦体から抜く方法、
そのポイントとして、
・母音の発音をシンプル化すること
・アクセントの高低を明瞭化すること
・独特の単語や接尾語、言い回しがあることに気付くこと
前回はこの3点を挙げ、
ひとつめの
母音の発音のシンプル化について、解説しました。
母音の発音のシンプル化は、
方言の矯正だけではなく、
日本語の綺麗な発音のための練習になりますから、
日常的なチェックポイントとして意識するといいと思います。
アクセントの高低を明瞭化すること
次に、アクセントについて。
これを矯正するには、
自分の身に染み付いている方言の訛りが
どういうクセを持っているのか、
知る必要があるでしょう。
日本語のアクセントは、
「高低」によるものです。
一音一音に音階があるようなものなのですね。
つまり、
方言と共通語では、
ちょっとメロディーが違うんですが、
人は、
方言にどっぷり浸かって成長するわけですから、
その違いに気づきにくくなっています。
方言のアクセントと
共通語のアクセント、
違いを聞き分けられるようになるためには、
「聞き分ける耳」を持つことが、
極めて重要です。
方言と共通語のアクセント・イントネーションを聞き分ける練習法
そのために、
具体的にやるべきことは、
まず、
テレビやラジオなどの共通語を聞いたら、
それがどういう音階で発音されているのか、
「鼻歌」のように復唱してみること。
そうしているうちに、
自分の話しているイントネーションが、
共通語とどう違うのか、
その傾向がわかるようになってきます。
例えば、
私が学生時代を過ごした、
名古屋の名古屋弁では、
前2拍(以上)が同じ高さになる傾向があります。
「机に落書きしとったら、いかんがね」
(つく↑え↑に↓らく↑がきしとっ↓たら、い↑か↓んがね)
こんな感じです。
共通語のアクセントでは、
言葉の最初の1拍と次の1拍では、
アクセントの高低が必ず変わる、
という法則があり、
上記の「机」なら、
つ↑くえ、
「落書き」なら
ら↑くがき、
となるはずですが、
名古屋弁では違うんですね。
しかも上記の
つく↑え↑に
では、
「え」でアクセントが上がるのに加えて、
助詞の「に」が高くなったりするわけです。
こういった、
アクセントの高低の微妙な違いが、
方言を形作っているわけですね。
さらに、
もっと微妙な音の出し方として、
つくえにらくがき・・と言う時には、
おそらく、
つーくーえにらーくーがき
と、
2拍続く低い音は、
ちょっと長く引きずる傾向があるんですね。
ですから本当は、
高低の音階だけではなく、
1拍の音の長さの問題も
含んでいるわけです。
皆さんの地元の言葉ではどうですか?
自分の発音を、自分で聞いてみる
いずれにしても、
「聞く耳」を作ることが、
方言矯正のキーポイントになるのですが、
そのために
本当はもっとオススメしたいのが、
自分のアクセントを
自分で聞く、
という作業です。
人間は意外に、
自分で思っていることを、
実行できていないことが、
よくあるものです。
私もナレーションをしていて、
たまにNGを出されることがあり、
「今のアクセント、間違っていましたよ」
と指摘されたりします。
自分ではそんな風に言っていないつもりですから、
そのときは、
ちょっと怪訝に思ったりするわけですが、
実際に、
録音したものを聞いてみると、
間違ったアクセントで読んでいたりします。
自分の体が、
自分の思っていることと違うことを、
実行していたりするわけですね。
自分が思っている言い方で、
発音できているだろうか、
それをチェックするために、
とても有意義なのが、
自分の発音を、
自分で聞いてみること。
かつては、
カセットテープなどに録音しなくてはできないことでしたから、
日常的に行うには、
かなり面倒な作業でしたが、
最近は、
パソコンやスマートフォンで、
簡単にできるようになりました。
やろうと思えばすぐにできることですから、
是非とも、
一度お試しになって、
できれば
習慣化して下さい。
そして、
「聞く耳」を作ったら、
次は、
課題を持って、実際に話してみること。
そうやって、
自分の壁を越えていくことで、
本当に、
話し方が綺麗になっていきます。
心から自分の話し方を変えたいと熱望するなら、
ここまでやることを、
お薦めいたします。