相手の「本音を聞き出す」話し方のコツ


本音を聞き出すには、緊張感を与えることも大事

入江智子(編集部)
入江智子(編集部)
本音の反対はタテマエですよね。タテマエももちろん大事なのですが、本音の見えない話は記事にしてもつまらないんですよね。
加藤俊一(総務課長)
加藤俊一(総務課長)
本音って、その人らしさってことですもんね。
でも本音には責任も伴いますから、その人らしい発言を控える「リミッター」みたいなものも、働きますよね。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

気分が高揚し、
話すモチベーションが高まれば、

概して、
人は饒舌になるものです。

もちろん、
それぞれ、その度合いは違いますが。

人から話を聞く立場、
会話を仕切ったり、言葉を引き出す役割のある立場の人にとっては、

相手にたくさん言葉を発してもらえれば、
それでいいのか、

というと、
そうでもありません。

ほとんどの場合、

言葉の数が増えれば増えるほど、
話の内容が薄くなりますし、

テンションが上がると、
無駄口が多くなり、
楽しいことだけを追求しがちになります。

同時に、
自分の言葉への責任感も希薄になりがちです。

ポツリポツリ、
ゆっくり話す相手のほうが、

含蓄のある話を
語ってもらえたりするものです。

入江智子(編集部)
入江智子(編集部)
人が本音を話す時って、相応の覚悟といいましょうか、腹を決めるみたいな気持ちが必要ですよね。

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相手が自分と向き合う時間を設ける

揚げ足を取るなら、放言、無責任発言を連発してもらったほうがいいのかもしれませんがね(笑)
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

相手から、
うまく話を聞き出す方法として、

まずリラックス状態を作り、
さらに、テンションを上げることで、
相手の話すモチベーションを高める、

という話を進めてきましたが、

最後の段階で必要になるのは、
相手が自分と向き合う時間を設けること。

そのためには、
実は、ちょっとした緊張感が必要なのです。

つまり、
相手が少しドキッとして、
自分を顧みたり、

その人が真の姿を垣間見せるきっかけを
提供する、ということです。

心地よいだけではダメなんですね。

加藤俊一(総務課長)
加藤俊一(総務課長)
なるほど、リラックスして、話すモチベーションが上がってからの、緊張感、ですね!

思い出させること

そうです。でも緊張感と言っても、怒りや恐れなどの感情の乱れのことではありません。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

具体的には、
どういう言葉を使えばいいのでしょうか。

人は、
今、目の前にあるものごとの話になると、
条件反射的に、言葉を発してしまうものです。

テンションが上がっている時にはなおさらで、

威勢は良いが内容が薄い話になってしまうのは、
たいてい、そういうケースです。

ですから、
相手が自分を顧みるきっかけを提供するためには、

今、ここにない何ものかの話、
そして、
その人自身の内面、考えについて質問するのが、基本になります。

なかでも、
最も有効なのが、思い出させること、です。

入江智子(編集部)
入江智子(編集部)
思い出させる=自分の内面のことを考えさせるってことですね。思い出させるって、わかりやすい表現ですね。

心の深みから言葉を絞り出してもらう

試しに、自分のことを考えてみようとすればよくわかると思います。内省的になるときって、思い出すことが必ず伴いますから。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

多くの人が一度は見たことがあるわかりやすい例として、
プロ野球のヒーローインタビューを想定してみましょう。

Q、今日のヒーローは、
○○さんです!

A、「ありがとうございます~」

この段階は、
目の前のものごとについての、表面的な受け答えです。

Q、絶好調ですね。好調の原因は何ですか?

A、「いい練習ができているからです~」など・・

これは、少し、相手の見解に踏み込んではいますが、
現状の分析、解説ですから、
相手への負担は、少ない質問です。

Q、今日のホームランを振り返って下さい。

A、「外野フライが欲しい場面だったので、
内角に来たストレートを思い切り振りました・・」などなど。

これが、思い出させて、
相手が自分を顧みるきっかけを提供する質問です。

質問の仕方はさまざまで、
そこは腕の見せどころになります。

さらに、質問次第で、
相手を、自身の心の深いところまで到達させることだってあるでしょう。

Q、去年を思い出しますと、ちょうどこの時期は大変でしたね・・

A、「大きな怪我と手術があって試合に出られず、また、父が・・(涙)」

などなど。

相手がなかなか話し出さなければ、

「その時、お気持ちはどうだったんですか?」
などと、直接的な質問をしてしまう手もあります。

お気持ちはどうだったなんて質問する、あるいはそんな質問を聞くのは、
美意識に反するっていう方も多いと思いますけど、

限られた時間で確実に欲しい言葉があるときには、
仕事として使う必要もあるでしょうね・・

これが、

思い出させることで、相手に緊張感、負荷を与え、
心の深みから言葉を絞り出してもらう、

話の引き出し方の極意です。

加藤俊一(総務課長)
加藤俊一(総務課長)
思い出させるって、日常会話でも使えそうですね。

あえて、劇薬的な技術も

日常会話でも、思い出しが多い内容の時は、結構深まったり充実したりするものなんですよね。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

さらに、

・まったく異なる事象やテーマを投げかけたり、
・自分の考えをぶつけてみる、反論してみる

という、
ちょっと高度な方法もあります。

これは、
時と場所を選ぶやり方ですね。

例えば、
上記のヒーローインタビューの場で、

政治問題への意見を求めたり、

あの判断は間違いで、こうすべきだったのでは?というような、
話の聞き手側の意見や批評を繰り出すのは、

さすがに無理があると思いますが、

状況次第で、
劇薬的な効果がある場合もあります。

ビデオカメラが回っている状況で、
わざと相手を怒らせるのも、実際に使われている記者のテクニックです。

入江智子(編集部)
入江智子(編集部)
わざと怒らせるのは、性格上、私はできませんけど・・(笑)ただ、そこまで覚悟して質問している人もいるってことですね。

緊張感の後の、弛緩も狙い目

あと、本音がタテマエっぽくて面白みがないときもありますよね。そういう時は今度は緊張感ではなく緩めることも必要になります。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

また、緊張感のあと弛緩させてみると、
思わぬ本音がでることもあります。

つまり、

真剣に自分に向き合って出てきた
カッコイイ答えが、

建前であったりするケースもあるのですね。

聞き手としては、
その建前と本音は、どちらも必要。

ですから、まず緊張を与えて、建前を話してもらったあと、

「まあ、とはいえ、本当は○○なんでしょ?」
などと、
冗談を交え、口調を変えて言った質問に対して、

帰ってきた答が、
実はその時、一番面白い話だったりすることもあります。

政治家のオフレコでの失言は、
こういう質問テクニックによることが多いと思われます。

リラックスすることによって、
相手の状態を、普段通りに近づけ、

テンションを上げることによって、
話すモチベーションを高めます。

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しかし、
普段のおしゃべりの壁を超えるには、
その先が必要。

緊張と弛緩を意識することによって、

相手が話してくれる言葉の深みが、
それまでとはまったく別物になってくるはずですよ。

入江智子(編集部)
入江智子(編集部)
緊張と弛緩というポイントを意識するだけで、話の聞き手としての可能性が無限に広がるような気がしてきました。
加藤俊一(総務課長)
加藤俊一(総務課長)
緊張と弛緩をコントロールする技術、聞き役がその場の空気を支配して操るみたいなところもありますよね。これは人に知られないようにしなくちゃ!(笑)

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本音を聞き出した結果が、くれぐれも相手に不利益にならないように、注意しなくてはいけませんね。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

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