キャラクターを与えて人を活かす、会話の仕切り
「いつも、複数人での会話を盛り上げる、影響力の大きい人」



議論やイベントで、
司会進行、仕切り役になったときはもちろん、
日常会話においても、
「複数人でのトークが盛り上がる」
コツをひとつ、ご紹介します。
それは、
会話の参加者ひとりにひとつずつ、
わかりやすい『役割』『居場所』を
作ってあげることです。
どういうことなのか、
最初に、あえて抽象的な説明をします。
X+Y=Z
という方程式があるとします。
これに、
Z=8という解が与えられたとしても、
X+Y=8、という方程式のままでは、
X、Yを特定することはできません。
しかしそれに加えて、
Xが5だったら、
Yは3と、
すんなり答が出るはずです。
決まりごとがあると、
物事が簡単になるのですね。

会話参加者に役割を与える

トークにおいても同様です。
個性、性格、キャラクターは、
その人ひとりひとりの決まりごとであり、
複数人でのトークは、
いろいろなキャラクターの集合体です。
でも、
自分の世界を表現することに長けた、
キャラクターの強い人は、
そう何人もいるわけではありません。
多くの人が、
自分の個性の出し方に、
明確な答をもっているとは言えない状態なのではないでしょうか。
そしてそういう人は時として、
会話に加わるきっかけがつかめなくて、
ただ笑っているだけ、だったりします。
そこで、
話を回す立場の人が、
そういう人に、役割、キャラを与えてあげることで、
話しやすくなり、
発言の機会が増える、というわけなのです。


役割とは、キャラクターの「切り口」

役割と言うと、
議長役とか、朗読役、など、
本当に世の中にある役職はもちろんなんですが、
例えば、
消費者の気持ちになって批判意見を述べる役とか、
すぐにビックリするキャラクターの人、
トンチンカンなことをいう人、
沖縄出身の人、
などなど、
その人が話すべき「切り口」であれば、
なんでもいいのです。
切り口がひとつあれば、
話は、いかようにも展開することが可能です。
切り口があると話がしやすくなるのは、
上記の方程式の例のように、
決まりごとがひとつできることで、解が導きやすくなるからです。
また、
会話の参加者のそれぞれのキャラクターが固まってくると、
参加者同士で、
相手のキャラを念頭に置いた話もできるようになってきます。
会話をしながら、
「自分の話には、
これといって面白い点はないのだけれど、
話の終わりに
沖縄キャラの人に振れば、いいオチが付く」
というような計算もできるわけですね。
こうして、
複数人での会話が、相乗効果で盛り上がっていくのです。

勝手に人をキャラ付けするのは、リスクも有る

さて、ここからが大事な心構えなのですが、
会話参加者に上手に役割を与えるには、
相手の得意なことを把握し、
キャラの見極めを的確にしなければなりません。
得意なことは
話しやすいものですから、
得意なことでのキャラが設定されるだけで、
その人にとってその会話は、とても快適なものになるはずです。
いっぽうで、
気に入らないキャラを押し付けられて、
不快に思う人もでてくる可能性もありますから、
その点は注意が必要です。
特に子供の場合は、
大人になれば、「オイシイ」と思えるような自分の個性も、
屈辱的な欠点だと思ってしまうことがあるものですし、
また、周囲からのからかいのターゲットになってしまう恐れもあります。
安易なキャラ付けは、
そういう危険性も含んでいることは、
認識しておくべきかもしれません。
何より大事なのは、
会話参加者一人一人のために、
良いところを発見して、
その人が人気者になるように、
と考えること。
いっぽうで、
見ている人が面白がれるように、とか、
自分や一部の会話参加者が面白いように、
という意図で人のキャラ付けをすると、
その人を傷つけることが多くなったりします。
テレビのお笑い系トーク番組では、
このようなキャラ設定は日常的に行われていますが、
あれは、
出演者全員が、
面白く観てもらえるなら、ほとんどすべての発言を許容する前提で、
臨んでいるトークですから、
それと混同してはいけません。

嫌味な人も、キャラにしてしまえば面白い人になる

とはいえ、
相手の為を思う気持ちさえ誤らなければ、
キャラ付けには、メリットがたくさんあります。
きっかけをつかめなかった人が
発言しやすくなるというだけではなく、
アクの強い人の
嫌味を軽減するという効果もあります。
批判・指摘・愚痴が得意な人が単独で話をすると、
聞き手が辛くなってくることがあるものですが、
「批判キャラの人」としてなら、
その話も面白く聞けるようになります。
批判や指摘、愚痴などネガティブな発言をしてしまう人が、
「上手にキャラ付けをしてくれる人」と出会ったかどうかで、
愛されるキャラになれるかどうか、
人生が違ってくることだってあると思います。
そのような、
相手の良いところを引き出すキャラ付けが出来る人は、
影響力の大きい人。
そのグループにとっては、
不可欠な存在。
決して自分自身が面白いことを言うタイプでなくても、
そういう人に、なれるのですね・・


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