話す時の顔(表情)の見せ方
「話す時の顔で、損をしているのではないか?」
人前で話をするときに、
どういう表情であるべきか?
ニコニコしていればいいのか?
といえば、
そうばかりでもありません。
聞き手側が、話し手の通常の表情から受け取るのは、
相手の人柄や雰囲気のような、漠然とした情報です。
これはこれで、
とても重要で、好印象であるに越したことはありません。
その上で、
「話を効果的に伝える」という観点から言えば、
話しているときの表情の「変化」こそが、
相手が本当に求めている情報と言えるかもしれません。
繰り返しますが、
聞き手は、
表情の変化を見逃さないのです。
人間は本能的に、相手の表情の「変化」に敏感
そもそも、話をするというコミュニケーションにおいては、
ただ単に、話の内容だけ把握できればよい、
というものではありません。
むしろ、
相手の様子から、
「言葉の真偽やニュアンス」、「話の裏にあるもの」、
「人となり」を探ろうとするものです。
これは、
人類が誕生して以来、
綿々と行われてきたことであるはず。
人類は生まれながらにして、
表情の「変化」に敏感なのです。
赤ん坊が、
いないいないばあ、で喜ぶのも、
表情の変化に反応しているから、
であることを考えれば、
いかに、それが根源的なものであるかがわかるでしょう。
顔の見せ方で意識すべきこと
では、
その表情自体は、どうすればいいのか?
という話は
別の機会に譲るとして、
表情に変化をつけることを意識する上で
大事になってくるのが、
「聞き手に向かって、意識的に顔を見せる」
ということです。
上記の例のように、
聞き手は、相手の表情の変化から、何らかの情報を得ようとしているものですから、
相手の表情を見ることができる状態、
そのこと自体に、
安心感を覚えます。
逆に、
表情が見えない相手に、不安を感じます。
ですから、
ずっと下や横を向きっぱなし、など
相手に顔を見せない話し方は、
もうその時点で、
かなり損をしています。
では、
用意した原稿を読み続けなくてはいけない、
あるいは、それに類するシーンでは、どうしたらいいか。
「聞き手に向かって、意識的に顔を見せる」箇所を
用意しておくのがいいと思います。
用意された表情で
演技のようになってしまうのも、どうかとは思うのですが、
それは表情を作るということではなく、
確実に自分の表情が変わるよう、
話の内容にメリハリを付ける、ということです。
例えば、
淡々と、客観的な情報を羅列するシーンと、
体験談、感想など、
主観的な話をするシーンを分けることを、意識的に行うこと。
そして、
主観的な話をする場面では、
しっかり、自分の顔を、聞き手に見せてあげること。
感情を伴う主観的な話では、
自ずと表情に変化が表れますから、
笑顔、驚き、悲しみ、
その他、もっと繊細な感情の機微が、
演技ではなく、自然に表現できるはずです。
表情が乏しいと言われる人は
表情が乏しい、と指摘される人が、
ある一定数、存在すると思います。
それが悩みという人の話を
聞くこともあるのですが、
表情がない人なんて、
本当はいないのです。
感情を伴う話をする場面においては、
少なからず、表情は変わるものです。
なのに、
表情が表に出にくい。
そういった人は、
もしかしたら、
話の内容のほうに、メリハリがないのではありませんか?
こういうことがあった、という客観的な情報と、
そこで、自分はこう思った、という主観的な情報を、
ごちゃまぜにした原稿を、ずーっと読んでいるのと同じ状態なのではありませんか?
ならば、
上記の、原稿を読みながら表情を見せるやり方を
応用してみるといいと思います。
つまり、
自分はこう思った、という話は、
後までとっておく。
客観的な情報、説明、などを先に済ませ、
あるいは、伏線を張っておき、
クライマックスで、
感情を表現する。
相手に顔を見せつける。
そんなふうに、
論法レベルから話し方の習慣を変えることで、
表情が相手に与える印象も
随分変わってくると思います。
そして
大事なのは、
「その話を、どう伝えたいか」
という気持ち、意図。
驚きを伝えたい話ならば、
クライマックスに驚きを。
喜びも悲しみも、同様です。
話を魅力的にするのは、
感情を伴った、主観的な話題であり、
それを彩るのが、
表情の変化である、と心得ておくといいのではないでしょうか。
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