聞く気のない相手を前に話す時
話を聞かない人がいる完全アウェイな環境で、話し手はどうすべきか?
聞く気のない相手を前に話す時、
話し手にとっては、
あまり楽しくない環境ですね。
でも、
それが仕事であったり、
頼まれごとだったり、
自身の誇りをかけて、など、
私たちには、
最後までやり通さなくてはならない、
何らかの「話す責任や義務感」があって、
放り出すわけにもいかないことって、
ありますよね。
完全アウェイの状態で、
どうするか。
考えておく価値は有ると思います。
なぜアウェイか?どういうアウェイか?
ではまず、
その現場が、なぜアウェイなのか?
どういうアウェイの現場が想定されるのか、から、
思いを巡らせてみましょう。
聞く気のない相手で、
まず思い浮かぶのは、
「生徒」
かもしれませんね。
たとえ勉強をする意志はあったとしても、
学ぶ必要性を感じる教科とそれ以外では、
生徒の聞く気は、
まったく別物です。
ましてや、
学校に来ること、
授業を受けること自体に意義を見出せない生徒も、
なかにはいるわけですから、
さぞ、ご苦労なさっていることと思います。
そのような生徒さんは、
「やらされる」あるいは「やってやる」というぐらいの
心理状態ですから、
それを敵にするも味方にするも、話し手次第、
ということになりそうです。
また、
私がアナウンサーとして経験してきたタイプの聴衆としては、
オープンスペースでの、
無料のイベントのようなケース
も考えられますね。
そこにいる人達の多くは、
別にこのイベントが目的じゃないわけです。
それどころか、
次の出演者が見たいので、
さっさと終われ!と思っている人や、
とにかく騒がしいのがイヤ、目障りだと感じる人、
マスコミ嫌い・・など。
職業として話す場合、
そういう逆風も、時にはあるものです。
そこまでいかなくても、
人の出入りが多い中や、よそごとが気になる雰囲気の中での、
講師、講演、プレゼン、スピーチなど
誰でも経験する可能性は、考えられます。
アウェイ環境の相手の心理状態
このような、
話し手にとって手強い相手の心理状態は、
無視と無関心、反感と反発心で、
これらは、
その程度、度合いが様々で、相互に関係しあったりしています。
例えば、
反感や反発心といっても、
こちらの話に噛み付いてきたり、
あえて無視しようとしたり、
あるいは邪魔しようと大声で私語をしたり、といった、
むしろ積極的に
話し手に働きかけてくる反感・反発もあれば、
本当によそごとがしたかったり
その場にいる目的が全く違ったりするような、
消極的な無視・無関心もあったりするでしょう。
それぞれに
難しい問題だと思います。
積極的な反発は、
関心を持って聞いてくれているということでもありますから、
こちらの態度次第では、
その時間がとても有意義なものになる可能性を秘めています。
ただし、
そういう相手に腹を立てず、
冷静に対処できる、
自制心が必要になってきますよね。
いっぽう、
消極的な無関心の相手は、
放っておいても、
問題にならないことも多いと思います。
ただ、
こういう層の人が、
ざわざわとした散漫な空気を作るなど、
話の邪魔になる場合もありますし、
話し手としてのプライドが許さない、
といいましょうか、
できれば、こちらの話に耳を傾け、
もっと欲を言うと、
知らなかったというレベルから始まっても、
ファンになるぐらいの好意を持って帰ってもらいたい、
という気持ちも湧いてくるのではないでしょうか。
話を聞かない相手がいるときの対処法
では、
こういう現場には、
どう対処すればいいのでしょうか。
もちろんケースバイケースで、
個別具体的な方法が必要にはなってきますが、
全般的にまとめると、
ポイントは、2つ。
・環境の整備
・働きかけ
だと思います。
環境の整備というのは、
話をするその場、
すべての要素であって、
例えば、
椅子の配置や、
ドアの開閉、パーテーションの設置など、物理的な環境もそうですし、
スピーカーから出る音量や、
声の通り、
注意を引きつけるような効果音や効果的な言葉、
聴衆が私語をせずざわつかない雰囲気や、
話を積極的に聞くような環境、
という意味も含まれてきます。
働きかけというのは、
そういった環境への働きかけ、
ということと同時に、
話を聞く気がない人、
そのものへの、直接的な働きかけ、もあり得るでしょう。
言葉を換えると、
話を聞かなくなるような、
周りの雰囲気を改善すると同時に、
話を聞かない人自身に、
話を聞くよう、
有形無形のアプローチをしていく、ということです。
つまり、
人が話を聞かない原因は、同時に封じないと、
効果が減少してしまうのですね。
他人はすぐには変えられない
話し手は、
心理的な影響を受けやすいものです。
話を聞かない相手がいると、
カッとなったり、
ムキになったり、
悲しくなったり、
絶望したり、と、
その聴衆そのものを、
なんとか変えようと、
躍起になってしまいがちです。
でも、
他人は簡単には変えられないのです。
そんな時に、
「話を聞く環境を整備してみよう」
と考えなおすだけで、
完全アウェイの状況を、
楽しむことができるようになるのですね。
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