「早口で話が伝わらない」人が直すべきこと


「なぜ早口は話を伝わりにくくするのか?」

大石貴博(企画推進部)
大石貴博(企画推進部)
間違いなく、早口です。思ったことをすぐに言いたい性格なので、話し急いでしまうんですよね。
頭の中にある言葉を音声化する話し手と、初めてその言葉を聞く聞き手の関係ですから、早口が伝わりにくいのは当たり前ですよね。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

話が伝わりにくい原因のひとつに、
「早口」の問題があります。

早口はなぜ、
話を伝わりにくくするのでしょうか?

3点にまとめると、

1、言葉を不明瞭にする
2、余計な言葉が付いたり、必要な言葉が欠ける、文脈が乱れる、など、話の正確さが損なわれる
3、話の展開の早さが、相手の理解のスピードを超える

このような理由から、
話が伝わりにくくなるものと考えられます。

大石貴博(企画推進部)
大石貴博(企画推進部)
相手にとっては、早口はいいことがないですね。
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早口になってしまう仕組み

早口よりも、伝わる言葉をじっくり選んだ方が、おそらく結果的には効率が良いかもしれませんね。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

では、早口はなぜ起きるのでしょうか?

頭の中に思い浮かんだ「話したいこと」を声に出すまでの過程
を思い浮かべてみることにしましょう。

例えば、

今日のランチで食べたいもののことを
想像してみて下さい。

ラーメン、オムライス、和定食・・

そういえば新しい店が
あそこの角を曲がったところにオープンしたから
試しに行ってみるか、

あの場所はどんな店ができても
すぐ潰れちゃうんだよな・・

・・そんなことを考えたとしましょう。

このぐらいのことは
ほんの一瞬で頭の中を駆け巡るでしょう。

なぜかというと、

頭の中では
「イメージ」だけで考えを進めているからです。

ラーメンのイメージ、オムライスのイメージ、
角を曲がったあの場所のイメージ・・

イメージ、想像、
という言葉の通り、

頭で考えていることは、
文章として認識しているようで、

実際は、
「像」

つまり、
細部まで描き込んでいない、
ざっくりした絵に、

字幕のような言葉が載っている状態、
なのですね。

これができるおかげで、

私たちは、
さまざまな複合的な判断が瞬時にできるわけです。

ところが、

頭の中のイメージを、
声に出して話してみるとどうでしょう?

考えているのと話すのとでは大違い、というのは、
まさにこのことです。

例えば、
単語ひとつをとってみても、

音ひとつひとつに、
ひとつ分の「時間が必要」であることにお気づきでしょう。

オムライス、には
「オ・ム・ラ・イ・ス」5拍分、

ラーメンなら、

本来は「ら・あ・め・ん」と
4拍分の時間が必要なのですが、

気持ちが早まると
「らめん」になってしまいます。

これこそが、

早口によって正確さが損なわれ、
相手に伝わりにくくなる現象です。

音の長さがきちんと出ていないために、
不明瞭になったり、発音・滑舌が悪くなったりするという過去記事はこちら。

単語だけではありません。

文脈や話の展開、構成も、
頭の中では瞬時に思い描くことができていました。

それはまるで、
無数のテレビ画面がそれぞれの話を映し出しているところを、

一望のもとに眺めている状態です。

しかしそんなふうに一瞬で考えた話でも、

声に出して話してみると、
なんともまどろっこしく、

話し終わるまでに時間がかかってしまうものなのです。

だからこそ、

結論まで待てない、というような、
じれったい心理状態も発生したりします。

誰でも思い当たることが、ありますよね。

大石貴博(企画推進部)
大石貴博(企画推進部)
それ、良く感じます。早口だけじゃなくて、一度に言い尽くせなくてじれったいこともありますね。

コミュニケーションにはその言葉分だけ時間が必要

本当に効率的、効果的に誤解なく言い尽くそうと思ったら、むしろ慎重になるはずなんですけどね。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

こういった現象を、
音楽のCDに例えてみますと、

CD自体は、
ペラペラの薄い板として存在していて、
人に受け渡したりすることは瞬時にできるのですが、

実際に内容を聴いてみると
その音楽分の時間が必要ですよね。

まるでCDを人に渡すように、
イメージだけをダイレクトに相手に伝える事が出来れば、

コミュニケーションは飛躍的に進歩するでしょう。

しかし残念ながら、
私たちにはまだ、それはできません。

それは、
テレパシー、などと呼ばれ、
まだ「超能力」の部類に属することです。

ですから、
現代に生きる私たちにとっては、

「コミュニケーションには
その言葉分だけ時間が必要」なのですね。

このように考えますと、

つい口が早くなるのは、

頭の中のイメージを
そっくりそのまま瞬時に、相手に伝えてしまいたい、

と思う、
焦りの気持ちから始まっています。

この場を早く終わらせたい、
相手が退屈に思っているかもしれない、
すごい面白い話を思いついた、
言わなくてはいけないことが沢山ある、
時間などの制約がある、

・・などなど

そういう状況が
話し手の心理に影響を及ぼすのだと思われます。

これは早口だけの問題ではなく、

しゃべっているうちに、わけが分からなくなってしまうような混乱も、
同様の原因から生まれるものだと思います。

大石貴博(企画推進部)
大石貴博(企画推進部)
私の場合は、楽しかったりして高揚しているときも、そうなります。

相手にとっては初めて聞く音である、という意識で

よくわかりますよ。そういう自分をどう制御するか。永遠のテーマです。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

「話す」というのは、
極めて独りよがりな行為です。

自分自身は頭の中でわかっていることを、
自分が思いついた言葉で言い表すわけですからね。

でも、

相手にとっては、
すべてが、

初めて聞くこと、初めて聞く音です。

だからこそ、
相手に理解されるように工夫すべきであり、

それが、
「話し方の一番難しいテーマ」なのだと思います。

これも読んでみて!  相手の「話したい気持ち=テンション」を高めるコツ、具体策

確かに、
表面的には、

早口は、

言葉が不明瞭になるから、
話の正確性が損なわれるから、

伝わりにくいわけですが、

上述のように、
人が早口になる原因を考えてみると、

その話が、
話し手の自分本位であって、

「聞いている相手への配慮や工夫が欠けている」
ことこそが、

そもそもの
早口の話が伝わらない問題の核心であると言えるのではないでしょうか。

では
どうしたらよいのでしょうか?

次回から
考えていきます。

大石貴博(企画推進部)
大石貴博(企画推進部)
結局、自己中心的なんですよね。そんな自分でも改善できる方法があったら教えてください。

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くまちゃんアナウンサー
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