話がいつも明快でわかりやすい人の言葉づかい
「自分のポジションをできるだけ早く表明できているか?」


あの人の話は
いつも歯切れが良い、
とか、
あの人にしては、
珍しく、歯切れの悪い返事だった、
など、
発音が明瞭であること以外に、
「話しっぷり」とでも言いましょうか、
話の内容においても、
歯切れの良し悪し、という要素があるものです。
そして、多くの場合、
歯切れのいい人は、
人気者です。
ここにいう「歯切れ」とは、
どういうことなのでしょうか?

意見が明確にならないのは、日本語の特性でもある

欧米人が持つ、日本人に対する印象として、
話が曖昧だとか、
自分の意志、意見を明確にしない、
などとよく言われます。
もちろん短所と長所は表裏一体であり、
それを、
奥ゆかしさとか協調性といった、
ポジティヴな捉え方をすることも可能ですが、
いずれにしても、
このような日本人の話し方は
日本語自体の特色のひとつである、
yes/noを一番最後に表明する文法が一因になっていることもあるでしょう。
例えば、
「・・・・・・・ということは、ないわけです。」
などと、
それまでの話が、最後に逆転する可能性も秘めていて、
最後にずっこけて、
笑いになったりすることもありますよね。
これに対して、
自分の意見を明確に主張するのが得意な英語においては、
「I don’t know.」
などのように、
主語のあと、動詞よりも先に、yes/noが表明されますよね。

相手が最初に知りたいのは、敵か味方か、である

このように、
歯切れの悪いのは日本語のせいだと言ってしまえば
そこまでなのですが、
かといって同じ日本語を話している人の中にも
歯切れの良い人は存在します。
その人たちの話し方は
どんなものでしょうか?
聞く側の気持ちから考えてみましょう。
例えば、
政治家などのインタビューや討論番組を見ていて、
「・・・で、あなたはどう思うわけ?!」
と、
ツッコミを入れたくなってしまうことはありませんか?
話を聞く、というコミュニケーションは、
人類の歴史から考えても
「コイツは敵か、味方か?」をうかがう機会であるわけです。
聞き手がまず何を求めているか?
それは、
「話し手の考え方が、自分に近いか遠いか」
なのです。
ですから、
いつまでたっても自分のポジションを表明しない人の話は
歯切れが悪い、と感じるわけです。
一般的、客観的な話ばかりをして
自分の気持ちをあいまいにすることを、人を「煙に巻く」話し方と呼んだりもします。
逆に、歯切れの良い話とは
「自分の位置、方向性をできるだけ早く明確にすること」
だと思います。

気持ちを歯切れよく表現する方法

具体的に、
歯切れの良い表現を挙げてみます。
・私は賛成します
・支持します
・好きです
・~こう感じました
・結論から言いますと・・など。
また、
「微妙な気持ち」でも
歯切れ良く表現することができます。
例えば、
・7対3で賛成に傾いています
・現状では判断できかねます・・などなど
気持ちが苦しいからと言ってあいまいにしたままだと、
どっちなんだよ!
と指摘されてしまうかもしれませんから、
このような、
「あいまいな気持ちを歯切れよく表現する術」を知っておくと、
とても便利ですし、
結果として、
聞き手の信頼を勝ち得る話し方につながるわけですね。
ただ、
あまりにはっきりし過ぎる「物言い」は、
人間関係にかかわりますので
状況に応じて判断するのはもちろんのことです。
大事なのは
そのように自身のポジションを明らかにした後、
「そう考えるのはなぜなのか」
相手が納得する理由を用意しておかなければ
ただの「感情論」になってしまうということです。
例えば上記の、
「私は好きです」
であれば、
こういうところが、○○だから、好き、
とか、
「現状では判断できかねます。」
では、
判断ができないのは、××が△△だからです、
というような、
もう一段階掘り下げた、自身のポジション表明の「裏付け」が必要になります。

言葉を変えると、キャラクターが変わる

そして、角度は違いますが、
もう一点。
話しっぷりを歯切れよくしてくれるこれらのワードは、
話し手に大きな副産物を与えてくれます。
意識的に
こうした話し方をしていると、
よりポジティヴに、明快に、
思考法や性格にまで、変化が表れます。
話し方は
話し手の「人となり」を反映するものですが、
その逆も、然り。
話し方、言葉の使い方は、
人格に影響を与えるのですね。
言葉は考え方の源です。
自分を変えたいのであれば、
言葉から変える、というアプローチもあると思います。

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