セールス・アピール・売り込み・営業が上手い人の話し方の特徴2つ
「魅力を、効率よくアピールできているか?」


「説明」というのは、
目の前の物事や現象を「実況」することであったり、
さらには、自身の頭の中の抽象的なこと、
たとえば感想や理念などをわかってもらおうとすることであったりと、
非常に多岐にわたります。
私達の話の主要部分は、説明で占められている、
と言っても過言ではないでしょう。
なかでも、
「自分の薦めることを相手に理解してもらい
より好意的に受け入れてもらえるよう説明すること」
つまり「アピールする、売り込む」ことは
不可欠な要素です。
これが上手い人は、
それだけで人生、トクをしています。
嫌味にならない上手なアピールができるようになるには、
どうすればいいのでしょうか?

嫌味にならずにアピールするには

アピールも説明の一種だと認識すれば、
やはり大枠の概要から固めて
徐々に細部を描写していくということになりますが、
アピールする、オススメする、買ってもらいたい、
などというゴールは決まっているわけですから、
大枠の固め方、方向性の指し示し方も
自ずと決まってきます。
例えば、
物を買って欲しいのであれば、
「この商品は、ひとことで言うとこういう商品で、
いい商品であり、必要になる商品であるので、オススメしたい。」
という主旨を先に言ってしまう、
ということです。
買って欲しいとはなかなか言えないでしょうが、
お薦めしたいとストレートに言ってしまった方が、
下心がなさそうで、むしろ好感が持てるものです。
そのあと、
「なぜオススメするのか?」について、
論理的に細部を描写していきます。
その際には、前回の記事で書いたように、例えと比較を使いながら端的にイメージを伝えつつ、
オススメするもの、こと、の長所を提示します。
しかし自分の都合のいい事だけをわかってもらおうとするのは、
簡単なことではありません。
時には、
短所を埋める説明が必要になるでしょう。
客観的な視点で短所を見極め、
相手が賛同しきれない不利な条件について、
理解を示すことが大切です。
例えば、
良い物だけど、
ちょっと値段が高いのであれば、
高いことは認めてしまったうえで、
それを上回る価値を提示すること。
不利な条件を認めてしまえば、
あとは、逆に薦める理由に結びつけることができますし、
相手にとっては、不透明感がなく、
自身にとっても、後ろめたさがありませんから、
説明にエネルギーを与えてくれます。

「おすすめする本質」を言葉にする語彙を持とう

物やサービスを売り込むにしても、自分自身を他の誰かにアピールするにしても、
具体的に何かを人におすすめするような状況において大事なのは、
「おすすめする本質」を認識することと、
それを端的な言葉で表現できることです。
そしてその「おすすめする本質」は、
相手のニーズから導く必要があります。
ニーズのないところに、おすすめの言葉を叫ぶのは、
それこそ迷惑行為にもなりかねませんよね。
もちろん明確なニーズだけではなく、
ニーズになりそうなことを察する「可能性の掘り起こし」も含めて、です。
相手の状況を察して答を探すのは、
前回まで5回シリーズでお伝えしてきた「説明の方程式」と同様ですね。
今、もう既にそこに存在する相手から答を導く方程式ですから、
0から話を創作するよりぐっと楽であるはずです。
そして、その「おすすめする本質」と直結する言葉を
ひねり出すことに集中しましょう。
つまり、相手のニーズから導いた、
おすすめの本質に直結する語彙というのは、
例えば、
お手頃でコストパフォーマンス抜群のユーティリティープレイヤー、
過酷な条件下に最適な堅牢さ、かつ扱いやすいシンプル設計、
コレクターなら3つは買っておきたい、
コンパクトで職場にも備えておけて2台目にぴったり・・
ショッピングサイトなどには、
このような文言がたくさん並んでいるわけですけど、
相手が見えない状態の「静の販売」では、
あらゆるニーズをつかもうと、
こういう売り文句をそろえて待ち構えるわけです。
実際、これらの文言を聞く(見る)だけで、
その言葉に呼応する相手の状況が想像できますよね。
その点で、とても優れています。
売り込み・セールス・アピールの話し方においては、
その相手が目の前にいるわけですから、
もっと相手に寄り添った発想ができるはずだと思います。

営業企画書通りの話が通じない理由

ここまでお聞きになって、
思い当たった方もいらっしゃるかもしれません。
前もって組織的に、
売り込み・セールスの作戦を立てるようなケースも多いでしょうが、
そういう作戦をそのまま現場で使っても、
なかなか相手の心に響かない理由。
それは、その言葉の発想元が、こちら側にあるから。
売り手発想の言葉だからです。
それこそ、主語述語の関係から、文言が違ってきます。
その点、売り込み・セールス・アピールが上手な人は、
そこを相手のニーズから導いた答えに、
かみ砕いて話すことが、
自然にできたりするんですよね。
自分の言葉で話す、ということでもあります。
ここが、売り込み・セールス・アピール上手な話し手の
特徴だと思います。
苦手な人は、
この点を意識的に応用すればいいのですね。

「人の心を動かす」という壁を突破するには

ただし、
アピールには、説明だけでは超えられない壁が存在します。
一口にアピールと言っても、
感情的に好意をもってもらうことから、
行動を起こさせて
さらには金銭を使って商品を購入してもらうところにいたるまで、
レベルはさまざまですが、
共通することは、
相手の心を動かす、という点です。
これが最後の壁であり、
この壁を突破できるかどうかが、
アピール上手とアピール下手の間にある、大きな違いでもあります。
アピール上手な人が必ずやっている
話し方の共通点。
それは、
「主観、情感を散りばめること。」
自分がそれをどれほど好きかという情熱や、
オススメする気持ちの強さ、自信。
あるいは、自身が体験したことについての驚き、感動。
一生懸命さ。
例えば、
「開発した自分でもびっくりしちゃったんですが・・」
「妻がとても喜んで、毎日使っています。」
「ここまで値段を下げるのには、ちょっとがんばりましたよ」
などなど、
そのような、自分の気持ちをストレートに伝えることは、
相手の心を動かす突破力があるものです。
自信のないものには魅力を感じてもらえませんから
長所は堂々と。
短所を認めるときには、
卑屈にならない程度にへりくだることで、
真摯な姿勢を表すことができます。

主観、情感を散りばめたアピールには突破力がある

大枠から固めて方向性を指し示し、
詳細を描写していくという、説明に必要な手順のなかに、
このような主観、情感を散りばめることで、
相手の心を動かすという壁を乗り越えて、
懐に飛び込むことができるわけですね。
客観的で淡々とした説明のみでも相手の心を動かすことは可能でしょうが、
その「ひたむきさ」を理解してもらえるまでには、
相当の積み重ねが必要で、かなり時間がかかることです。
しかし、魅力的な感想や意見は
そういう壁も効率的に突破してしまう力を持っています。
このような、アピール上手の「要領のよさ」、
取り入れてみる価値はあると思います。

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