話す時の自分を「抑制、コントロールする」コツ
言いたいことが言えるだけでは、本当の話し上手ではない


上手に話したい、という思いが強い人ほど
早口でペラペラしゃべろうとする傾向があるようです。
しかし
「上手い話とは、伝わる話」のことであって
極端にいうと、
よどみないとか、トチらないとかは、
「伝わるのであれば」どうでもいいことです。
ペラペラしゃべって悦に入るのは自己満足に過ぎません。
そのほとんどが聞き流されているかもしれないのですから。
「言いたいことを言うのは話し下手」
「聞きたいことを言うのが話し上手」
なのではないでしょうか。
私たちはあくまで、
「伝わる話」を目指さなくてはなりません。
そのためには自分を制御する意識の変革が必要です。

今、自分の頭から出たばかりの話を理解してもらうには、配慮が必要

話し手と聞き手の関係は、
「話す側は話を知っていて、
聞く側はその言葉を初めて聞く」
という状態にあります。
これが、話が伝わらない根源的な構造です。
ですから話し手はいつも、
「今、使っているこの言葉は、今、理解されたか」に
心を配る必要があります。
例えば、早口で話すことの問題点は、
「聞く人がそれを初めて聞く」という
配慮、思いやりが足りず、自分のペースでしゃべってしまうこと。
それと同時に
より効率よく伝わるはずの簡潔な言葉で表現できていないこと。
たくさん言いたい、上手く伝えたいという
「気持ちを制御できていない」ことの現れでもあるわけです。
そしてその傾向が強い人の多くは、
「話の聞かせ所を中心とした全体像がイメージできておらず
効率よく伝わる構成を思い描かないまま話している」
のではないでしょうか。

息を吸っている間に、言葉を厳選する

思いつくままにあれやこれやと話していると
おのずと言葉数が多くなってしまうものです。
「言葉が自分の内側から飛び出してくるのをぐっとこらえる」ことも
話し上手を目指すうえではとても重要なことなのです。
しゃべりたい気持ちを抑えるためのコツとしては、
いつもなら中途半端に見切り発車でしゃべり始めてしまう、
そのときに、鼻で、長く息を吸うことです。
息を吸っている状態では、人間は話すことができませんから、
その間に、
聞かせ所を意識しながら、
それを演出するための構成と端的な言葉を厳選しつつ、
話し始めることができるのです。

息が吸えると、トチリ・失敗が激減する

またそういった気持ちの制御ができるようになると
「トチリ」が激減します。
気持ちの中で「溜め」が出来ることで
ほどよい準備態勢の元で
言葉を発することができますし、
息をたっぷり吸っていますから
一音一音にしっかり息を使うことができ
トチリが減少するわけです。

これは
話す、という行為に対する意識、
つまり「美学」の問題かもしれません。
話したいことを好き放題に話して自己満足するより、
「選り抜きの言葉が、相手に伝わる」ことに
話す意義を見いだしてみてはいかがでしょうか?

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