話しながら、聞き手と良好な関係を築き上げる方法
話す環境は、話し手が整備する


前回は、まず、
話をする環境を分類してみました。
それは、
・オープンかクローズドか、
・演壇、教壇、ステージなど話し手の立ち位置が定まっているかどうか、
の2つの要素の組み合わせによる、
4パターン。
1、教室、ホールなど
外部からは閉ざされ、
演壇、教壇、ステージなどが設置されている環境。
2、外部から閉ざされているものの、
会議室やフリースペースのように、
演壇、教壇などがなく、話し手の立ち位置が定まっていない環境。
3、外部に開かれている、
街頭や屋外、屋内の大ホールの中に設営されたステージなどの環境。
4、外部に開かれていて、
なおかつ、話し手の立ち位置が定まっていない環境。

これに、もう一つの要素、
「聞き手の体勢」という要素も、
それぞれに掛けあわせて考えるべき、というところまで、
話が進んでいます。

個別の環境における対処法 クローズドで立ち位置があるパターン

今回は、
1、の「クローズドで立ち位置があるパターン」について。
具体的には、
ステージや演壇、教壇、司会者用のテーブルがあったり、
それに近い状態としては、
平場でも、話し手にスポットライトが当たったりする環境、
例えば、
講演、講師・教師、スピーチ・演説、対談などで、
限られたメンバーを対象に話すケースです。
このような環境で話ができる主なメリットは、
・声がよく届き、また注目が話し手に集中することで、
意味内容が正確に伝わること
・話し手自身が、
コンディションを良好に保て、全体を見渡すことができ、
話すことに集中しやすいこと
・聞き手にとっても、
気が散らず快適な状態で話を聞くことができ、聞く集中力が高いこと

いっぽうデメリットは、
・話を聞かせる対象者がそれ以上拡大しないこと
・動きが少なくなること
・話し手のプレッシャーになる可能性があること
・聞き手が限定されることで、
話し手との相性の影響が相対的に大きくなること
などが挙げられます。


メリットの活かし方、デメリットの軽減法
では、
メリットの活かし方、
デメリットの軽減法を考えていきます。
メリット・デメリットは、
表裏一体ですから、
考え方ひとつで、
メリットが活き、デメリットが減らせるのですね。
まず、
クローズドで立ち位置が決まっている環境では、
話を聞かせる対象者は限定されますので、
広く浅くという拡散志向ではなく、
より深く聞かせることを考えます。
聞き手を個々に認識するような気持ちで、
人数がやや多く、
個別には把握できないような状態であっても、
聞き手と話し手、個人的な関係のなかでの話、
ぐらいの感覚で話すといいでしょう。
そのためには、
しっかり聞き手を見渡して、
どういう人がここにいるのかを、よく知ることが大事。
時には、
聞き手のうちの特定の人とトークをしてしまう、
という手法も成立します。


また、話をし、あるいは聞くことに特化されたこの環境があるだけで、
話はよく伝わるはずですから、
話のわかりやすさだけを意識し、
「うまく話してやろう」という自意識は、排除すべきでしょう。
注目が集まる中で、
「うまく話してやろう」と思えば思うほど、
それがプレッシャーになって跳ね返ってきますし、
そういった自意識が、
聞き手に感づかれて、嫌われたり、聞く気を損なったりする原因にもなりかねません。

聞き手が「得する」ことを意識して話す
話し手と聞き手の相性の問題も重要になってくる、
限定的な空間ですから、
話す内容は、
徹底的に、相手の為に、聞き手が得するようにと
胆に銘じておくこと。
そして、
もし可能ならば、
それが、
誰の、どういうことに得になるのか、
言葉にして言ってしまいましょう。
例えば、
「これは理系大学を目指す人には、
将来必ず必要になってくる考え方なのですが・・・」
とか、
「家族の問題の悩みを解消したい人は、まずはこれから始めてほしいんです・・」
とか、
「○○さんについては、こんな評判を耳にしましたよ・・」
とか。
話す内容は同じでも、
こういう枕詞を付けられるかどうかで、
聞き手への言葉の届き方が違うんですよね。

必要な情報や、
幸福感を味わえる言葉を、
自分のために言ってくれている、
ということが、
こういった限定されたメンバーのなかでの話では、
特に、心に響くものです。
また、
話し手が、そういう言葉を言ってあげよう、
と思っているだけで、
自意識で固まりがちな話し手の心理を、
聞き手本位の気持ちに変化させてくれるはずですし、
聞き手にとっても、
その話が本当に自分のためになるのであれば、
その話し手が嫌いになることはないはず。
もし話し手のあなたが、
聞き手との関係に弱点があるのであれば、
聞き手のことを考える気持ちが、
実は足りないのか、
それを言葉にしていないがために、
伝わっていないか、ではありませんか?
そんなときには、こういった、
「言葉のプレゼント」を常に考えるという習慣を、
作ってみてはいかがでしょうか。
先生と呼ばれる役職の人の場合、
聞き手に対してへりくだることに慣れていないことも多いと思いますが、
言葉のプレゼントは、
へりくだらなくても、可能ですし、
聞き手に媚びを売ることでもありません。
聞き手が欲しがる言葉や情報を、
与えたいという気持ちさえあれば、
あとは言い方次第だと思いますよ・・


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