最後まで、聴衆・聞き手を引きつけておく話し方
「早く次の言葉が聞きたくなるような話し方ができているか?」


聞き手を、話の最後まで惹きつけるための話し方として、
結論を先送り、後回しにする、という方法があります。
いわゆる、
話をひっぱる、というやり方です。
しかし、
聞き手の関心を持続させたいがために安易に話をひっぱることは、
ただ単に、時間を長引かせただけの、退屈な話になってしまう恐れもあります。
では、
上手に話をひっぱるには、
どうすればいいのでしょうか?
考え方としては、
まず、
話をひっぱる、という言葉自体を捨てましょう。
そしてその代わりに、
話を、「謎解き」形式にする、
という意識を持つのが良いと思います。

話を「謎解き」形式にすると、関心が長続きする

では、その「謎解き形式」の話とは、
どういうものなのか?
イメージしてみましょう。
子供に見せる紙芝居の、
「絵と絵の間」に話すことを想像してみて下さい。
例えば、いま、
「おじいさんとおばあさんが拾ってきた桃を切ってみると・・・」
というシーンを見せているとして、
当然、次の絵には、
「桃の中から桃太郎が生まれる」シーンが控えているのですが、
次の絵に進める前に、
紙芝居の上手な読み手であれば、
子供たちにこう語りかけるのではありませんか?
「さあ、桃を切ったら、どうなっちゃうのかな~?」
すると子供たちからは、
いろんな答えが返ってくるでしょう。
もう一個、桃が入っていた、とか、
汁が飛び散った、とか、
宇宙が生まれた、とか・・
このようなやり取りの後、
満を持して、(ジャーン、とか言いながら)
桃太郎誕生の絵を見せるのではないでしょうか。
「謎解き形式」の話し方とは、
こういうことです。

言葉の順番を変えるだけで、聞き手のモチベーションが上がる

このような話し方は
私たち話し手の、あらゆる場面において、有効です。
例えば、
レポート用紙に書くような語順では、
「Aという手法を用いたことによって、
売上は前年同月比で
X%アップしました。」
という内容の話で、
Aという手法、という部分を強調したい場合に、
この謎解き形式を導入すると、
「売上は前年同月比で
X%アップしました。
『その原因は何だったのか?というと』
Aという手法を用いたからなんです。
さて、このAという手法なんですが・・・」
と続いていく話になります。
語順や構成をこのように変えて、
途中に「謎解きの問いかけ」を入れることで、
まるで、桃太郎誕生の前に、
子供たちが様々な想像を巡らせたような正解探しを、
聞き手が各々、やってくれるのです。
そして、クイズを考えたら、
答えが聞きたくなるのは、人の常。
つまり、
話し手の次の言葉=答を早く聞きたい、という渇望感
が生まれます。
これこそが、
聞き手が、話に興味を持ち続ける「原動力」となるのですね。

自分が言いたいことを見失わない話し方

さらに、この謎解き形式は、
話し手が、
自分の言いたいことを見失わないための手段としても、
とても有効です。
聞き手にとっての「謎解きの問いかけ」は、
話し手にとっては、
「これからこういう話をしますという宣言」でもあるのです。
話し手は
自分で宣言した通りに話を進めればいいわけですから、
あれこれ話題を広げすぎて、話を散らかしたり、
話しているうちに
言いたかったことがことがわからなくなってしまうことを防ぐ、
一番簡単な方法でもあるのです。
しかもこの話し方は、
「いわゆる、話法」として感づかれることもなく、
多用しても、くどさや、いやらしさもありません。
むしろ、
話が上手、わかりやすい、と認知されている人の話し方が、
実は、謎解き形式で構成されている、
というケースも少なくありません。
そういう人の話し方を
一度、その点に注意して、お聞きになってみるのもいいかもしれませんね・・

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