嫌いと言っても嫌われない「賢者の話術」
「”嫌い”を、好きという単語で表現できるか?」



感情を上手に表現する方法のシリーズ、
前回の記事では、
「絶対にやってはいけない嫌いの表明」を、
5つ挙げました。
今回は、
上手に嫌いを表明する方法、2つです。
まずひとつめは、
「そういう人もいるよね」
「嫌いなんだから仕方がないよね」
と思ってもらえるような、嫌い表明です。
例えば、
人前で、
「メロンが嫌い」
と言うことにしましょう。
この発言、
なんてことないように思えますけど、
もし、
その場に、メロン農家さんが居たら、
おそらく悲しみますよね。
嫌いを表明することのリスクとは、
そういうことです。
そういう発言のなかで、
「メロンが好きな人の気が知れない!」
と言ってしまうのが、
相手の価値観と人格を結びつけて
否定してしまうパターン。
これは絶対にやってはいけないことです。

嫌いと発言するには、「資格」が必要なのだ

これに対して、
上手に嫌いを表明する言い方は、
「メロンは子供の頃から食べられないんです。
ウリ科の植物って、独特の青臭さがあるでしょ?
だから、キュウリとかもダメ。
給食で食べられなくて、
よく掃除の時間まで残って食べさせられたんですよ。」
ね!
これなら、
嫌いでも仕方がないか、と思いませんか?
ポイントは、
具体例、体験談、一般化です。
「机上の空論に基づいた”観念的な嫌い”が反感を生む」
のに対し、
体験談を交えた具体例があることで、
「嫌いと発言する資格」が
発言者に与えられるのですね。
しかもそれを、
「一般化=あるある話」に仕立てていることで、
そういう人もいるよね、
それも一理ある、
という共感を生んでいるわけです。
嫌いの表明が上手な人は、
自然と、このような言い方をしているはずです。

「物は言いよう」を活用しよう

もうひとつは、
「嫌いを好きと言い換える方法」です。
「物は言いよう」
の最たるものなのですが、
嫌いという言葉を使わないで、
好きという言葉で
嫌いを伝えるやり方もあるのです。
これこそ、
賢者の言葉遣いです。
簡単に言うと、
嫌い、と言うよりは、
好きではない、と言ったほうが印象が柔らかい、ということです。
嫌いの表明が上手な人は、
さらにそれを前向きに言い換えて、
「○○のほうが好き」
と表現できます。
上記のメロンの例で言えば、
「メロンはあまり食べないけど、
スイカはよく食べるな~」、など。
嫌いという言葉の代わりに、
「頻度が少ないという事実」に言い換えつつ、
メロンと並び立つ夏のフルーツ、
スイカの名前を挙げて、
そっちのほうが好き、
ということで、
暗に、
メロンが嫌いなことを表現しています。
例がメロンですので、
ちょっと大仰で滑稽にも感じますが、
メロン以外の候補、スイカの名前を挙げることで、
会話が繋がり、
「話の門前払い」や「ぐうの音も出ない」雰囲気を
防ぐことができる。
これは、
様々なシチュエーションで応用ができると思います。
ただし、
○○のほうが好き、という場合、
もしかしたら両者が対立するような関係にあり、
わざわざそちらの名前を出すことで、
聞き手が嫉妬を感じる可能性も否定できません。
そのあたり、発言者の思いやりの繊細さが、
やっぱり必要になりますね。

自分の「嫌い」を知ってもらうことで相互理解を深める

誰にも、
好き嫌いはあるものです。
嫌いであることを
言わないという選択肢も、もちろんありますが、
嫌いという価値観も相手に知ってもらえたら、
相互理解はより深まるはず。
嫌いなことも”好き”で表現する話し方なら、
相手を不快にすることなく、
自分の意見を述べることができます。
こういう話し方ができるかどうかは、
単なる言葉遣いだけではなく、
普段の感じ方、
生きる姿勢の表れ、
の問題なのかもしれませんね。


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