聞き手の「私語を激減させる」話し方のコツ
「聞き手という集団・社会に、秩序を与える」


限られたメンバーに向かって話をする時。
一番やっかいなのは、
聞き手が勝手にザワザワし始めてしまうことです。
それを防ぐためには、
まず、
「聞き手同士で話しやすい環境」を、
話し手自身で改善することが必要です。
そのうえで
・きちんと前を向かせ、
・聞き手が「口を開く」という行為のハードルを高くし、
さらには、
・少し緊張感を与えることで、
「聞く意欲を、半ば強制的に増加させる」こと、
私語を封じるのは、
この3つの要素であるというところまで、
前回の記事でお話しました。
(詳しくは過去記事を御覧ください)

聞き手が口を開く「ハードルを上げる」操作

今回は、前回告知したとおり、
「私語をさせない話し方」についてです。
まず、
聞き手が口を開く「ハードルを上げる」操作
とはどういうことなのか、
具体的にお話ししていきます。
今、こちらが話しているのに、
聞き手同士が勝手に話をしている、としましょう。
それに対して、
「何かをしないと話してはいけない」というルールを
暗黙のうちに、あるいは公然と作り上げ、
状況に応じて、そのハードルを上げ下げする、
という操作をしていくのです。
「何かをしないと」
とはどういうことかといいますと、
例えば、
こちらが話し終えるのを聞いてからでないと、とか
挙手しないと、とか
起立しないと・・など
聞き手が口を開くことができる権利に
条件を付けるわけですね。
具体的に、
講義などで話すケースでは、
「まず、○○についてご説明申し上げます。
ご質問は説明のあと、お受けいたします。」
というような形で
「こちらが話し終えるのを聞いてからでないと」
聞き手は勝手に話ができないルールを作り、
その前提条件を、
きっちり全員に向かって、ピシャリと表明しておきます。
「聞き手は複数人になると、社会を形成する」
ものですから、
勝手にしゃべり始めるやっかいな集団にもなれば、
上手にルールを周知させておくやり方次第で、
お互いの目が、
私語の抑止力になるわけですね。

聞き手の「聞く意欲」を保つには

そのうえで、
こちらの話は、
途中で途切れないように「必ず一連の流れで」まとめることを、
肝に銘じたほうがよいでしょう。
実は、
この話し方を使えば、
誰にもしゃべらせずに、
自分だけ話し続けることも、可能です。
しかし、
限定されたメンバーに向かって話すことの本来の意義は、
何らかの役に立つ情報を、
聞き手に伝えたいから。
自分だけ話し続けることにこだわりすぎると、
聞き手の参加意識、話を聞く意欲が減退してしまいます。
それは、
自分が話す意義が損なわれる、ということを意味します。
それでは、本末顛倒ですよね。
聞き手の意欲を保ったまま、
話しやすい環境、話が伝わりやすい環境を維持するには、
ひとつのテーマをコンパクトに。
ワンパートを適度な長さに区切ることです。
話を聞く時間と、
聞いて考えたことを披露したり、疑問を解決したりする時間に、
メリハリをつけ、テンポを与えることで、
聞き手を、
より能動的に、
そして本来の意味での、良き参加者に、
することができるのですね。

「例外なきルールを打ち出した断り方」

そして、例外を許すのはやめましょう。
こちらの説明の最中に話し出す人がいれば
これに応じてはいけません。
しかもそれを無視するのではなく
そこでピシッと締めましょう。
「ご質問であれば、このパートの説明のあとお受けします。
それまで少し静かにしていただけますか?」
と、相手の話の「内容に応じないこと」!
「その点については・・」
などと、
話の内容につっかかってしまうと、
こちらの話の中断が長くなって、
それこそ私語の発生源になってしまいますし、
せっかく今までしてきた説明の焦点が
ぼやけることになってしまいます。
話が理解できなくなると、
これまた、ざわつきの原因にもなりかねません。
後で質問を受けるという、
「例外なきルールを打ち出した断り方」をしたほうが良いでしょう。
さて、ワンパートの説明が終わったところで
いよいよ質問を受け付けます。
聞き手に、
発言の機会を与えるわけですから、
やり方次第で、
前向きな話し合いにもなれば、
現場全体を騒然とさせてしまう恐れもあるものです。
この質問の受け付け方と、
質問者とのやりとりについては、
また次回、ご説明いたします。

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