人から聞き返されてしまう発音になりがちな人は「口の中の空間の大きさ」を意識すること。
「仕組み」として言語化したオリジナルコンテンツです。
応用すれば、あなたの話し方も変わります。
「口を大きく動かすというより、口の中の空間を大きくする感覚で」


前回は、
話すと時々聞き返されてしまうことがあるという悩みについて、
発音の要素のなかでも、
「調音点」を意識することについて解説しました。
発音が甘くなる傾向は、
1、調音点
2、口の形と、口腔内の空間の大きさ
3、呼吸の深さ
これらの要素が複合的に関係しているものと考えられます。
今回は、
「口の形と、口腔内の空間の大きさ」
について、
さらに詳しく考えていきます。
前回記事と重複する箇所があること、ご容赦ください。
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日本語の発音の美しさは、母音の移り変わりのキレの良さ

話し方の指導というと、
だいたい出てくるのが「口の形」ですよね。
日本語の発音は、
五つの母音を発するときの口の形と、
子音を出すときの唇や舌、軟口蓋など口の各部位の使い方、
息の使い方の組み合わせによって成立していますので、
これらそれぞれを正確にすることが、
美しい発音につながります。
ご相談者のAさんは、
1で指摘した調音点だけでなく、
この口の形が「あいまい」であることも推測できます。
アならアの、口の形
オならオの、口の形があるのは誰でもわかりますよね?
英語の(ae)とか、韓国語など中間的な母音が多い言語と違って、
日本語は歴史の中で、
母音の無駄が削ぎ落とされてきました。
現在は5つしかありません。
中間的な音がなく、
母音から母音への変化が大きいため、
それが明瞭であるほど、美しいと感じるわけです。
アア、アイ、アウ、アエ、アオ
イア、イイ、イウ、イエ、イオ
ウア、ウイ、ウウ、ウエ、ウオ
エア、エイ、エウ、エエ、エオ
オア、オイ、オウ、オエ、オオ
母音の変化といえば、これがすべてです。
あえて同じ母音の連続も入れておきました。
このなかで
苦手なものはありますか?
そして
多くの人が苦手なものはどれでしょう?
それは・・
口を一番大きく開ける「ア」の音ですよね。
小さい口の状態から、「ア」と大きく開ける瞬間が、
一番「かったるい」わけですよね。
発音が不明瞭な人は、
この「かったるい」部分を、若干「さぼって」いるわけです。
お酒を飲むと
発音がグズグズになってしまう理由はここにあります。
また、家族と話している時は、
その慣れと気楽さから、
明瞭に話そうという緊張感を失っているために
口の動きがおろそかになっているのではないでしょうか。
ですから
相談者Aさんに送る処方箋としてはまず、
イア、ウア、エア、オア
と、
それに子音を付けた各行の、ア段への変化、
例えば、
キカ、クカ、ケカ、コカなどを意識してみることでしょう。
このとき大切なのは、
イアが、イヤにならない、
ウアが、ウワにならない、
エアが、エヤにならない、
オアが、オワにならないことです。
イッアッ、ウッアッ、エッアッ、オッアッと粒立てながら、
母音の変化を確認してみると、
逆に、
あいまいな音を出してしまうときは、
いかに口の動きをサボっているかがわかるはずです。

「ウ」段「オ」段の時の口の中の形はどうなっている?

ア段への変化をチェックしたら、
今度は、「ウ」と「オ」の口の形も確認しましょう。
発音の練習で、
多くの人が注意をするのは、
口角を上げて、
口を大きく開くこと、
ですよね。
上述のア段への変化も、
そのひとつなのですが、
そればかりだと見逃してしまいがちなのが、
「ウ」と「オ」の口の形です。
「ア」「イ」「エ」の時は、
歯を見せるぐらいまで口を開きますが、
「ウ」と「オ」では、
唇が前歯を覆って、前方に突き出る形となります。
ここで意識する必要があるのが、
「口腔内の広さ」です。
実は発音の明瞭さにおいては、
口が良く動くことだけでなく、
口腔内の空間の大きさを確保することが、
とても大事なのですね。
ウ段とオ段の時の口の中の空間は、
「ア」「イ」「エ」の時よりも、
「前後に広がっている」
ことが、
わかりますでしょうか?
この口腔内の空間を体感するために、
唇を閉じたまま
舌で上あごの内側をぐぐっと持ち上げてみてください。
口の中が広がっている感じ、わかりますか?
このように口腔内にしっかり空間を作ることで
調音が力強くなり
明瞭な発音が可能になります。
上手いアナウンサーほど
口の動きは自然なのに
一音一音はしっかり粒立っているものですが、
その理由は、口腔内の広さにあるといっても
過言ではないと思います。


© 話し方のコツ|心技体
著者:くまちゃんアナウンサー
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