サ行を綺麗に発音するために。サ行はどこから音が出るのでしょう?前歯の間から?
「実は綺麗に出ていない、サ行」
滑舌を綺麗にする方法について、
各論を進めています。
滑舌克服のためにやるべきことの基本原則は、
・正しい音の出し方を理解すること
・一音一音を強く正確に出すこと
正しい出し方を理解すると、
今の自分のやり方とのギャップを感じるはずです。
そのギャップが解消できるように、
何度も何度も日常的に、練習すること。
いや、日常的というよりは、
絶えず、口ずさむようにすること。
私などは、
アナウンサーでありながら、
いまだに、直したい音があるのですが、
それをいつも意識して、
道を歩きながらでも、口ずさんでしまいます。
もちろん、
すれ違う人にはバレないように、ですが・・。
オススメの方法としては、
自分が音を出しにくい「言い回し」を見つけて、
それを繰り返すこと。
発音は、
その音単体で出す時は、すんなり発音できても、
ある音からある音へ、連続する時に、
途端に言いにくくなることのほうが多いものです。
特に、いつもの自分の発音は、
「苦手な音をごまかしながらしゃべっている」ので、
正しい発音とのギャップに気付くと、
余計に、苦手な発音が難しくなります。
でも、
自分が難しいと思う発音を見つけたということは、
それはチャンスでもあるのです。
とにかくその難しい言い回しを繰り返すこと。
そして、
その難しい言い回しが楽に言えるようになるには、
どういう口の動きが大事なのか、見つけること。
例えば、
上顎(硬口蓋)を舌で強く弾く動きであれば、
おもいっきり強く硬口蓋に舌を押し付けてみる、など。
このような練習をしているうちに、
驚くほど、口の形が変わってくることが自覚できます。
以前の記事で、
「口は変わりやすい器官」と言ったのは、こういうことです。
もっとも、
ひとつの音を克服すると、
すぐにまた別の弱点を自覚してしまいますから、
私のように、
いつでも自分の課題を持ち続けることになるわけですが、
でもそれは、
自分のレベルが向上したからこそ理解できたことであり、
明らかに、前の自分とは違う発音、話し方になっているはずです。
発音、滑舌は、そうやって、
コツコツ、磨いていくものだと思います。
「サ行」は前歯の間から息を吐きだすことで出ている
さて今回は、
前回のカ行に続いて、サ行を取り上げます。
「新進シャンソン歌手総出演新春シャンソンショー」
なかなか難しい早口言葉ですね。
これは小さい「ヤ、ユ、ヨ」が入る、いわゆる拗音の変化と
その中に突然「ソ」が入ることによって、頭が混乱することがポイントですが、
今回はそういった早口言葉のコツではなく、
サ行を綺麗に出すことについて、
的を絞って解説していきます。
まず、サ行の音の出し方について。
サ行は、
シ以外の、サ、ス、セ、ソと、外来語のスィの子音は無声歯茎摩擦音、
シの子音は、無声歯茎硬口蓋摩擦音で、
簡単に言うと、
シの時は、若干、上顎に息が当たっている、ということですが、
いずれにしても、
合わせた前歯の間から
息を吐き出すことで音を出していますね。
またサ、セ、ソでは息を吐き出す瞬間に前歯を開けますが、
シ、スでは前歯の動きはほとんどありません。
私たちはこのようにして、
無意識のうちに、サ行の発音をしているわけですね。
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サ行が苦手になる原因3点と有効な練習法
では、
サ行が苦手になる原因を考えます。
第一に、
上顎と下顎の噛み合わせの問題、
第二に、
母音の変化の問題、
第三に、
呼気の強さの問題、
が挙げられます。
「あいうえお、かきくけこ、しゃししゅしぇしょ」
で笑いを取るタレントさんの話をしましたが、
サ行がそうなってしまうのは、
第一ポイントの、噛み合わせの問題です。
つまり、
そもそもサ行の音は、前歯の隙間から息を吐き出すことで出すものなのですが、
その前歯の状態が発音のためには正しくない、ということです。
噛み合わせだけではなく、
前歯が抜けたり欠けたりしていると、
サ行がヒューヒューと抜けてしまうのも、
同様です。
上記の「しゃししゅしぇしょ」の人は、受け口で、
サ行の発音の時に、きちんと前歯を合わせられない状態だと、
考えられます。
また受け口の逆で、
上顎の前歯が出ている人は、
しゃししゅしぇしょにはなりませんが、
サ行の音が曖昧になりやすい傾向にあります。
生まれつきの身体的特徴であれば、
完全に変えるのは難しいかもしれませんが、
かといって、
口は変化しやすい器官ですから、
正しい口の形を意識して、
繰り返しトレーニングすることで改善することも考えられます。
まずは前歯を正しい位置に合わせて、
「サッ、シッ、スッ、セッ、ソッ」
あるいは「Sーーーーー」と子音だけ出してみたりすることから始めましょう。
誰でも、どんな顔かたちをしていても、
特に下顎は、前後左右に、自由に動かせるはずです。
動きを変えることで、
身体的特徴をカバーすることは、充分に可能だと思います。
サ行の美しい発音に必要な、口の形、構え
第二、第三のポイントは、
前述のような、身体的な特徴ではない要因です。
私が自覚している、
サ行の注意ポイントは、
例えば、
「さらに」という時のサや、
「それぞれ」という時のソなどが美しくない傾向がある、という点なのですが、
これらは、
子音としての「S」よりも、
冒頭でいきなりア段の発音をしたり、
「ソ」の口の形が曖昧になってしまったり、
そして発音と同時に強い息が吐けなかったりすることによるものだと思います。
ひとつの具体例として、
「ソ」の口の形について。
発音練習というと、
口を大きく変化させることを意識すると思いますが、
どちらかというと、
「上下左右」に気を取られて、
「前後の動き」を忘れがちではありませんか?
オ段の音は、他の段に比べて、
鼻の下を前方に押し出すような動きになるべきなのに、
他のア段、イ段、エ段などにつられて、
ついついオ段が、平面的な変化になってしまい、
美しい音が出なかったんですね。
特にサ行は、
こういった口の形によって、
音の美しさに差が出やすい音ですから、
他にも増して、
正しい口の形と呼気を心がけたいところです。

