「相手の心の中の選択肢を操る」話し方を、セールストークに応用する
相手の心の中には、どういう選択肢が並んでいるか?
反対意見を相手に認めさせたい時は、
まずこちらから、
相手の意見、考え方をある程度認めた上で、
相手にも同様に、
こちらの考え方を認めてもらい、
相手の心のなかに、
ふたつの対立する意見を、並立させること。
そうすることで、
こちらの考えが相手の選択肢に加わり、
それに正当性があれば、
相手はやがて、
こちらの考えだったものを、
まるで自分が導いたかのように自然に選択します。
これが、
相手の気持ち、意見を変えさせる話し方の理想です。
否定したり、押し付けるのではなく、
あくまで、自分が選んだ、という形にすることが大事で、
それによって、
反対していたはずの意見も、
愛着の持てるものになるのですね。
強制的に意見を変えさせられたら、
このようにはいかないはずです。
「相手の意見を変えさせる話し方」を、セールストークに応用する
こういった、
「相手の心へのアプローチを、選択肢という観点で考える」方法は、
様々なシーンで応用ができると思います。
物を売りたい場合。
相手の心のなかの選択肢は、
買おうか、やめようか、
あるいは、
ここで買おうか、他所で買おうか、
などだと思います。
また、
選択肢が二択であるとは限りません。
高額商品などの商談では、
いろいろなところで見積もりをもらうなどして、
どれにしようかな、
というような感覚で、
こちらの条件を聞きに来ている、
というような状態でしょう。
こちらのことは、
憎からず思ってくれているわけですから、
上記(前回記事)のような、
意見を真逆に変えさせるよりは、
まだやりやすいと思いますが、
相手が求めているものの違いや、
こちらから出せる好条件にも限界がありますから、
どんなに良いトークをしても、
思い通りにいかないこともあるかもしれませんね。
そんななかで、
できる限りのアピールをして、
相手の心に訴えたいところです。
ただ、相手の気持ちが変わるのに時間をかけて待っていては、
商売になりませんから、
ある程度、
効率よく進めなくてはなりません。
相手の心の中の選択肢を、把握する
やるべきことは、
相手が、ここで買うことを自然に選ぶよう、
上手に促すことです。
話し手の心構えとしては、
相手の心の中には、
どんな選択肢が並んでいるのか、きちんと把握すること、
そして、
自分の案の応援団になることです。
つまりセールストークなら具体的には、競合他社、他製品、他のプラン・アイデアとの比較、
ということになりますが、
単純に自分と他社の条件の比較ではなく、
相手の心のなかの選択肢としての、
条件の比較です。
相手が何を求めているのか、
というフィルターを通したうえでの、
選択肢の比較です。
この意識があるとないとでは、
端々ににじみ出る言葉の使い方が全く違ってきます。
例えば、
当社とA社の製品では、
ここが違うんです。
これは単純な、表面的な比較ですよね。一方で、
お客様がご希望のこの機能については、
当社の製品は、こうなんです。
こういう部分は他社にはないんです・・
のような言い方になるかの違いなんですよね。
そして、後者のような言い方をするためには、
相手の心の選択肢に何が並んでいるかを、
把握することが、
話の前提だ、
というわけです。
相手の心の中の選択肢を、操作する
そのうえで、
以前の記事でも触れましたが、
人の心を動かすには、
スペックの説明だけでなく、
自分の感動したポイントを中心に語ること。
好き、とか、感動した!など、
主観で語れなければ、
なかなか
良さが伝わらないんですよね。
そして、
そんな話し方をしつつ、
さらに相手の心を揺さぶる方法として、
こちらから提示するプランの数を増やしてみる、
という手があります。
例えば、
その機能に関しては、
ご希望のAという機種も良いんですが、
私はこっちのCという機種もお気に入りなんですよね~
などの言い方で、
こちらからの推しを、2つにしてみたり。
こう言うことで、
買う・買わない、
あるいは、
買うならAか、他社のBか、という選択肢が、
買うならAかC、
という選択肢にすり替わります。
こちらから選択肢を増やしたことで、
買わないという選択肢や
Bもいいかも、という選択肢が、
話題から押し出されたんですね。
もちろん、
この話を始める前に持っていた選択肢を忘れてしまう人ばかりではありませんが、
これによって
話がぐんと有利な段階に上がる可能性もあるわけです。
難題を一緒に解いた仲間になる
そして、
自分が提案する選択肢を応援すること。
応援とは、
その選択肢のメリットを訴えるだけでなく、
相手の希望に合わせて新たな提案をして、
条件をより良いもの、相手に適合するものに変えていくことです。
理想は、
最終的に、相手が、
「じゃ、それでお願いします」
と、
こちらからの提案に、
まるごと賛成してくれること。
そのためには、
こちらが用意したものを
相手に飲ませるのではなく、
相手の希望に合わせた形で、
自分の持っている商品や主張を、
組み合わせたりしながら、
臨機応変に変化させていけるか、
が鍵になると思います。
それによって、
自分の提案を効果的にアピールできるのは
もちろん、
相手が決断するまでの会話を
より充実したものにすることができます。
その提案によって、
相手の心が動けばなお良いですし、
それによって説得される、
というより、
アイディアを絞るという経緯を
ふたりで経験したことによって、
説得する側される側という関係から、
ひとつの難題を
一緒に解いた仲間へと関係性が変化するのです。
一対一で説得するメリットは、
情を通わせることができる点だ、
という話を、
以前の記事でしましたが、
相手の希望に、
提案で応える、
というこの一連の共同作業こそ、
まさに、
情が通った瞬間であるわけですね。
どこで買ってもいいものが、
ここで売れる話し方とは、
そういうことです。