話す時の「首」「頭部」の動かし方が、味方を増やし、敵を作ることもある。
話す時の頭部の位置・動きが聞き手に与える影響


「頷く動き」
同意や納得を表します。
これは、
相手への同意はもちろん、
自分自身が今、話していることを、
自分で納得している、という状態もあり得ることです。
人は、
相手が頷くことで、安心感を覚えます。
しかし、
頷きを安売りし過ぎると、
意味が軽くなってしまいますので、
その点は注意が必要です。
また、
頷き方が単調にならないように、
細かく頷いたり、
大きく頷いたり、
ゆっくり頷いたり、
あるいは頷きを止めたりと、
頷き方のバリエーションの引き出しを持っておくと良いと思います。
頷き方がチャーミングな人は、
それだけで好感度が高いものです。

「左右の動き」
素早く頭を左右に動かせば、
基本的には、ノー。
例外的に、
「信じられない」という時や、
「否定形を否定する」ことで肯定にもなる表現を
特に欧米人が使うこともありますが、
日本人が、
頭を左右に振って、肯定の意を表すことは、
あまりありませんから、
安易に使わないほうがいいかもしれません。
左右の動きは、
どちらかというと、マイナスイメージ。
振り方によって、軽度から重度の、
否定や絶望などを表す傾向があります。
「無言で首を左右に振っている人を見たら、
話しかけにくい」
ことを考えれば、わかると思います。
また、
謙遜の気持ちを表現する時や、
相手が否定的・悲観的な言動をしている時に、
「そんなことないですよ・・」という意味を込めて
そうするケースはありますが、
(これは前述の、否定形の否定に近い働きですね・・)
顔を横に振るという動き自体には、
多分にマイナスイメージが含まれていますから、
誤解を受けないように、
「いえいえ~」など
音や表情、ゼスチャーと一緒に表すのがいいでしょうね・・

「首をかしげる」
故意の首かしげは、
「否定的な疑問」を表示します。
討論などで、
あえて、批判的な言動をアピールしたいときには、
有効だと思いますが、
これが癖になると、
相手に誤解を与えますから注意が必要です。
また、
首を傾けて上目遣い、は、
男性はあまりしないものですが、
女性がすると、
自分の可愛らしさのアピール、
あるいは、
甘える仕草と受け取られがちです。
また、首をかしげつつ、グラグラっと揺らす、
日本人の若い女性特有と言われるポーズも、同様と考えられます。
ただし首をかしげる動作を、
2回3回と繰り返していると、
上記の、
否定的な疑問の表示と勘違いされるかも?
顎の角度が、
首かしげに、違う意味を与える可能性がありますね。
否定的な疑問の時には、
顎が上がって首かしげ、であるのに対し、
可愛いアピールは、
顎をひいて首かしげになる傾向です。
可愛いアピールと同じ「顎をひいて首かしげ」でも、
顎をもっとひいて、鋭い目つきになると、
相手を見透かそうと様子をうかがう首かしげ、という場合も考えられます。

「見渡す動き」
ゆっくり全体を見渡すような、
頭の左右の動きは、
聴衆への配慮や、
俯瞰的、客観的な考え方が出来る人、
という印象を与えます。
専門的な職業の人が、
話す時にあまり全体を見渡さないのに対し、
経営者やリーダー職の人は、
全体を見ながら話すことが多いようです。
また、
全体を見渡しながら、
多くの人とアイコンタクトをとることで、
自分に賛同してくれる、
自分に良い印象を持ってくれる人を増やし、
その場の一体感を高めることができます。

頭部の動きは、その人の考えていることを象徴する

このように、頭部の動きは、
話し手の心理状態や考えていることを象徴します。
正しく表現されていれば、
自分の感情、ポジションを示すことができ、
相互理解に役立ちますが、
いっぽうで、
例えば、
わかりました、といいながら、
首をかしげてしまう、など、
言っていることと、頭部の動きから受ける印象が違うという状態は、
「ふてくされている」などと、
相手に不信感を与えることにもつながりかねません。
これはやってしまいがちな、要注意ポイントですね。

体の動きを効果的に見せる話し方の極意
このように、
体の部位それぞれが、
優れた表現力を秘めているものです。
そして、
これまでも述べてきましたが、
観衆に自分の動きを見せるのであれば、
「動き始めをしっかり見せること」。
しかも、
終始、同じ動きをするのではなく、
メリハリを持って、
要所要所で動くこと。
それが、
体の動きで伝える極意だと思います。

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