「話す時の容姿、外見、見た目」をスマートにする方法
人前で話す時の「体の動かし方の原則」
ストーリーの有る話をする時の、
効果的な演出法について、
あれこれ述べてきました。
前回は、
話の性質次第で、
聞き手との目の合わせ方が変わってくる、
という内容でした。
目線を合わせることで、
リアルな人間関係が発生するため、
説明して情報を共有する時などには、
聞き手と目を合わせることで、
信頼関係が構築され、
話した情報が伝わりやすくなるものです。
それに対して、
話しながら物語の世界に引き込みたい時に、
聞き手との目線の合わせ方に失敗すると、
現実の世界に引き戻され、
興ざめしてしまうことにもなりかねません。
もちろん、
やり過ぎもいけませんが、
ある程度、
「芝居がかって語る」時間を作ることは、
一皮むけた表現法につながると思います。
さて今回は、
このお話を語るシリーズを締めたいと思います。
目線以外の、
見た目、外観の作り方として、
顔や体の各パーツごとに
解説していては、キリがありませんので、
体の動きを見せるうえで、
念頭に入れておくべき意識、
体を動かす上での原則のようなものについて考えます。
自分と聞き手との間にある空間を意識して、体を動かしてみる
聞き手、聴衆の前で、
話をする時、
体はどんなふうに動くでしょうか。
演技として、
「振り付け」が入っていないかぎり、
ほとんどの場合は、
感情の高まりに任せてしまうのではないでしょうか。
それはそれで、
いいと思います。
たぶん、
そこまで考えて動いている人は、ごく少数です。
怒りには、拳、
広さは、腕を広げ、
激しさには、小刻みな動き、
高まりには、手を顔より上に挙げて・・
体の動かし方について、
過去にもこんな内容のことを取り上げたことがありましたね・・
では、
お話を語る時は、どんな心構えで動くのが効果的なのでしょうか?
結論から言いますと、
演者として、見られていることを意識すること。
そして、
それを意識するということは、
「聞き手と自分との間にある、
空間の使い方を意識する」
ということです。
見せるための動作とは、どういうものか
自分の感情の発露としての、
ゼスチャーは、
日頃からオーバーアクションぎみの人なら、
教えられなくても、
無意識的に、
誰でもしているのではないでしょうか。
しかし、
演者として、見せる、見られる動きは、
聞き手と自分との間にある空間を、
意識しないことには、できないものです。
この空間を、どう使うか。
これが、
語り手の力量です。
例えば、
生暖かい風が、すうっと吹いた、
という時、
語り手の自分の周りに
吹いたように見せるのか、
自分とお客さんが一緒にいるこの空間に、
吹き抜けたように見せるのか、は、
手や体の動かし方で、
変わってくるはずです。
何がベストなのか、
答えはありません。
聞き手と目を合わせずに、
目を虚空に漂わせて、風が吹いたことを表現することもできれば、
手を左右に動かして、
風がこんな風に流れたことを、体現することもできます。
また、
坂道で、
オレンジが転がっていく時に、
待ってくれーっと、手を伸ばす。
自分とお客さんの間に伸ばすのか、
自分もお客さんも、どちらも手が届かない方向に伸ばすのか、
これだけで、
イメージが全然違ってきます。
イメージが違うということは、
その物語に引きこまれて、追体験できる可能性も
違ってくる、
ということです。
体の見せ方を考えながら話すメリット
こういう、
体の動かし方による表現を考える一番のメリットは、
「何も考えていないと、同じ動きに陥りがち」
になるからです。
話す時の体の動きは、
意識していなければ、主に感情に左右されるものですよね。
でも、
ひとつの話のなかに、
何種類の感情の要素が含まれるでしょうか?
喜怒哀楽、
感情がめまぐるしく変化するような、都合の良いドラマは、
そう滅多にあるものではないでしょう。
大抵が、
腹が立ったなら、腹は立ちっぱなし。
すると
体の動きは、当然、怒りを含んだ、同様の動きに、
終始してしまうはずです。
単調な動きは、
聞き手を退屈にしますから、
話が効果的に伝わらなくなってしまうのです。
その点において、
話し手と聞き手の間にある空間を利用するという意識によって、
感情任せではない、
聞き手のことを考えた動きのバリエーションが増えるわけですね。
動作を考えると「話す時の見た目」に余裕が出る
また、
聞き手と自分との空間を利用しようとする体の動きは、
見た目をスマートにします。
話しているとき、
私が私が、という見た目が、
あなたはどうですか?という見た目になる。
見た目に余裕ができるのです。
これは、
ストーリーを語るときだけではなく、
スピーチなど、
人前で話す様々なケースにあてはまることです。
自分の感情を発露させる話し方というのは、
魅力的では有りますが、
いっぽうで、
聞き手が疎外感を覚えるのも事実です。
つまり、
ファンは熱狂してくれるかもしれませんが、
不特定多数を引き込む話にはなりにくい、
ということです。
より多くの人に、
理解されたい、という機会ならばなおのこと、
聞き手のことを思いやる話し方を
しなくてはならないでしょう。
聞き手と自分との間の空間を利用しようという意識があれば、
おのずと、
聞き手のことを思いやる話し方ができるようになるはずです。
よく伝わるように話したい、
とは、
話し方を追求している人なら、
誰しもが思うことでしょう。
でも具体的に、
何をどのように話せばいいのか?
いまひとつ掴みにくい、
という時。
この、
「聞き手と自分との空間を利用して体を動かす」
というイメージから入ってみるのはどうでしょうか。
この空間を利用して、
表現してみよう、
その一念で話した結果、
よく伝わる話ができるようになることだってあるはずです。
聞き手との「空間」を意識すると、しゃべりまで上手くなる
上手に話してやろう、
と思えば思うほど
自分が乗り越えなくてはならないハードルを
自分が上げてしまうことになるものです。
以前もここに書きましたが、
人前で話す時に感じるプレッシャーというのは、
すべて、
主語が自分なのです。
自分がうまく話す、
自分が賢いと思われたい、
自分が失敗しない・・・
その悪循環を断ち切るために、
相手のために話をすることが大事なのですが、
その意識の転換が、
なかなか難しいんですよね。
そんな時に、
自分と聞き手との間の空間を利用して、
体を動かす。
これだけを思って、
人前での話に臨んでみる、というのも、
いい方法だと思いますよ。