聞き上手の真髄は「共通認識」で話を深め「気付き」で話を発展させること
「多くの気づきを得るための、予習」

今回は、今まで習ってきたインタビューの心構えや技術を、実際の場面を想定してやってみるんですよね。楽しみです!

人から話を聞き出すための方法について、
戦略、心構えから、
具体的な質問まで、
シリーズで解説してきました。
詳しくは前回記事などでご確認ください。
今回は、
それらのポイントは、
実際のインタビューのなかではどのように活かされるべきなのか?
仮想の対談を設定して、
まとめてみたいと思います。
テーマは、
「ある人の、仕事へのこだわり」
というインタビュー。
その人の仕事は、
農家でも、職人でも、サラリーマンでもいいでしょう。
ドキュメンタリー番組や新聞、
専門誌、情報誌、社内報などの記事で利用するために、その機会が設けられた、
という設定です。

記者の気持ちになって考えればいいんですね!
どんなインタビューにするのかイメージし、そのための予備知識と自分なりの見解を持っておく

まず、
インタビュアーの心構えとしては、
何のために話を聞くのか明確に意識し、
どんな話にしたいのか、青写真を描くこと、
でしたね。
この場合は「仕事へのこだわり」というテーマが決まっていますから、
比較的取り組みやすいのではないでしょうか。
インタビューには
丸腰で臨んではいけません。
作戦を立ててみましょう。
おそらく、
「それはどういう仕事なのか」と、
その仕事自体のことを掘り下げていくことを通して、
「その人」を浮き彫りにする、
ことになるでしょう。
また、
「仕事へのこだわり」を引き出すためには、
その仕事自体について、
前もってある程度、自分も知らなければなりませんよね。
どこまで予備知識を入れる勉強が必要か?
という問題なのですが、
予習はもちろん必要ですが、
何から何まで知っておこうとするのは、
切りのないことです。
ここで大事なのは
その仕事は、
一般の私たちの生活のなかでどういう位置づけなのか?
常に「自分とのかかわり」を意識して、
それを平易な形で表せるようなイメージを持てるぐらいの、
予備知識と
自分なりの見解を持っておくべきだと思います。
また、
今回、インタビューとして設定したテーマは、仕事ですから、
プロの側からの視点だけでなく、
ユーザー(消費者など)の視点も欠かせないでしょう。
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そのテーマに対しての、自分なりの見解を持つぐらいまでの準備、ですね。
共通認識を起点に話は深まり、気づきをきっかけに話が進展する

ところで、インタビューに臨むにあたって、
なぜそのような予習が大事なのか?
もちろん、
相手に対しての礼儀ということもあるでしょう。
自分のことを知らない人よりも、
何らかの勉強をしてきてくれた人には、
当然のことながら、好感が持て、
その人のために話してあげたい、と言う気持ちになりますからね。
それに加えて、
これは以前も述べたことだと思いますが、
インタビュアーの予習は、
本番の話を効率的にすることができます。
人と人の会話は、
お互いの共通認識を起点に、進めるものです。
その共通認識が先へ進んでいればいるほど、
話はより遠くへ、より広く深く、
到達することができるわけです。
例えば、
「○○さん、ご出身はどちらですか?」
というレベルから質問するのか、
「○○さん、ご出身は××県でしたね!」
から話が始まるのかで、
話の深まりが全く違いますよね。
簡単に言うとそういうことです。
そしてもうひとつ、
予習が必要である理由は、
本番のインタビューにおいて、
インタビュアー自身に、
驚きや発見がもたらされるからです。
ある程度、
その仕事とはこういうものだ、
という予備知識と自分なりの見解を持って、
インタビューに臨んだとしても、
実際に話を聞いてみたら、
「思っていたよりも○○だった!!」
ということは必ずあるはずです。
それこそが、
人から話を聞き出すときの、目玉ポイントに他なりません。
もちろんその目玉ポイントは、
記事に書くならば重要な構成要素になりますし、
「え?それはどういうことですか?」
と、
さらに話を深める質問へとつながっていくわけですね。
人から話を聞いて、
そういった「気づき」の多い人ほど、
聞き上手であることは間違いありません。
だからこそ、
予備知識、相手との共通認識が必要であり、
それがない人は、
せっかく相手の話を聞いても、
気付くことが少なくなってしまうはずです。

良い気づきができるためには、事前のイメージができていることが大事なんですね。
予備知識に自分なりの見解を持つことで、話の引き出しができる

今回はインタビューという場面での話になっていますが、
この点は、普段の会話でも同じこと。
会話における予備知識、相手との共通認識というのは、
例えば、一般常識や雑学、ニュース、過去の記憶など。
持っているものが多ければ多いほど、
相手との会話が、一歩進んだところから始められて、より深められる、
ということになります。
情報として知っているだけでなく、
自分なりの見解があれば、
それは「話の引き出し」「話の切り口」になり、
結果、話題豊富な話し手になる、
というわけですね。

情報を話にするためには、自分なりの見解が必要だったんですね!!
具体的な切り口から垣間見える、その人の哲学を描きたい

さて、このような形で、
情報とそれに対する自分なりの考えをあらかじめ持った上で、
実際のインタビューを
どういう進行にすべきか、
思いを巡らせてみます。
日々の仕事の内容、
それは「何のための」作業なのか?
その時「どういう気持ち」なのか?
そして、
どんな仕事においても、その神髄が現れるのは
もっとも難しい工程に挑む時ですから、
「難しいことは、何か?」
それの「どこが難しい」のか?
どのぐらい難しいのか?
どの時「どういう気持ち」なのか?
そんなことができる「この人」は
どんな人なのか?
もともとはどんな育ちで、
どういうきっかけでその仕事を始めたのか?
その仕事をするために日々取り組んでいること・・
その仕事を全うする能力は、
その人となりのなかに見え隠れするはずです。
過去のことや、
仕事の工程などを思い出しつつ、語ってもらいます。
注意するとすれば
「こだわり」というものは、
突き詰めれば突き詰めるほど
「普遍的」「一般的」「抽象的」になるものです。
そこまで行ってしまうと
せっかくその人に話を聞いている意味がなくなってしまいますから、
「その仕事」という具体的な切り口から垣間見える
その人の哲学を描きたいところです。
また、ここまでは、
相手にとっても話しやすい自分のことに対する質問でしたが、
さらに、
相手に刺激を与えるべく、
人生観などの
ちょっと考えさせる質問も用意しておこう・・
と、
こんな作戦を立てました。
次回はいよいよ、
対談形式で、話を進行させますね。

インタビューに臨む作戦、完璧ですね!
