「滑舌の悪さを打開する」極めて有効な方法と考え方
伸ばすと、苦手な発音が言えるようになる


話し方の美しさ、
という点において、
とても影響力のある要素でありながら、
意外にそれを重視する人が少ないのが、
・促音「小さい『ツ』」
・撥音「ン」
・長母音(連母音)「母音を伸ばして発音すること」
を、
正しい一拍分の長さで発音する、
というポイントです。
前回記事も含め、
何度も言及してきたことですが、
頭で思い描いた内容を、
言葉、音で表すには、
それに見合った
時間がかかるものです。
それを早く言ってしまいたい、
と気持ちが急いた時に、
一番省略しやすいのが、
こういった、伸ばす音、なのですね。
早口で聞き取りにくい人のほとんどは、
この症状を含んでいますし、
特に早口ではない、
という人でも、
一拍の音の長さに無意識であることが多いものです。
丁寧でわかりやすい、
余裕のある話し方を目指すのであれば、
一拍分の長さをしっかり使うことから
心がけたいものです。

滑舌の悪さのメカニズム

また、
早口で話していると、すぐに噛んでしまって、言い直す人は、
本人は、
滑舌の問題だと思っているかも知れませんが、
実は、
この一拍の音の長さが足らないことの影響もあるのです。
音の長さを正確にする、
ということは、
息をきちんと吐き、
そのぶん、息をきちんと吸う、
ということでもあるのです。
音を正確に伸ばしきれないと、
中途半端な息の状態で
次の音を出さざるを得なくなり、
発音に伴う呼気が足りないため、
勢い良く、音を出すことができません。
これが、
トチったり、
滑舌が悪かったりすることの、メカニズムのひとつだと思います。
原因がそうであれば、
音をきちんと一拍分の長さに伸ばして、
息を吐いてから
次の発音に臨むことで、
滑舌が良くなる可能性があると思います。
実際、
私もナレーションの仕事の時に、
どうしても出にくい音に
遭遇してしまうことがあるのですが、
そういう時こそ、
その音の「前の音」でしっかり音を出しきることに、
チェックポイントを置いたりしています。

綺麗な「ん」の音のコツ

では、
これらの「短くなりがちな音」をより洗練させるために、
どうすればいいのでしょうか。
まず「ん」について。
普段私たちは
「ん」なんて、あまり意識しないですよね。
意識していないからこそ、
多くの人があいまいな「ん」を出しているのですね。
綺麗な「ん」を出すコツは、
頭の中で、
「ん」を響かせること。
例えば、
「今度の・・」という時。
「こ」と「ど」の間にある「ん」は、
頭の中で響きましたか?
多くの人は、
意識しないと、響かないのではないでしょうか。
一拍分の長さの「ん」が出ていない人は、
普段は「こんど」を、
こンど、こnど、ぐらいの感じで話しているはずです。

綺麗な「伸ばす」音のコツ

次に、
伸ばす音について。
例えば、
厚生労働省、と発音してみます。
「ろーどーしょー」
と言いっぱなす時は、
「しょー」と綺麗に伸びるかもしれませんが、
「ろーどーしょー・が、」と次の音が続く場合、
「しょ・が」と短くなってしまいませんか?
「こーせー」もそうです。
「こーせー」のあとに「ろーどーしょー」と続くと
「せー」がきれいに伸びにくくなります。
次の言葉が続くと
早く次の音を出したいと、無意識に先走ってしまうからかもしれません。
こういう場合の意識の仕方としては、
音を伸ばすというよりは、
そこにもうひとつ音がある、
と考えるぐらいがいいと思います。
こーせーろーどーしょー、なら、
こうせいろうどうしょう、と、
そこにちゃんと一音ある、と
頭の中でも意識し、それを癖にすることがが大事だと思います。

滑舌は、きちんと音を出し切って、口の中をリセットすること

今回は、
伸ばす音の場合について考えてみましたが、
上述の通り、
滑舌の悪さは、
音を出し切っていないことによるものが多く、
例えば、
タ行が苦手で、
「ただし」と言う時に、
「たらし」になってしまうような人でも、
「たーだーし」
と伸ばせば、
きちんと「だ」が発音できるのではないでしょうか。
これは、
「たー」と長めに音を出すことで、
口の中がリセットされ、
新たな強い呼気で、次の「だ」を発音できるからです。
逆に言うと、
「たらし」になってしまう時は、
「た」一拍分の呼気で、
「だ」まで発音しようとしてしまっているんですね。
滑舌が悪いと悩む人は、
多くは、
その苦手な音を綺麗に出そうと、
発音の練習をしたりするのでしょうが、
きちんと音、息を出しきる、
というポイントが変わらないかぎり、
その状態で、
いくら発音練習をしても、
永遠に滑舌は良くならないはずです。
ぜひ、
この滑舌改善法を、
参考にしてみてくださいね。

