端的に、短く言い表す
「話し上手は、名コピーライターでもある」
話す、という行為は、
新しい発想の連続です。
会話の流れの中で、絶えず、
より効果的な表現を発明しつづける、
ということです。
そしてその「効果的な表現」のなかでも、
あらゆるシーンに応用が効くのが、
「端的に言い表す」
ことだと思います。
例えば、明石家さんまさんという、
話術が天才的だと広く認められているタレントがいます。
多くの人が、あの「おしゃべりな人」ね、
と理解しているでしょう。
ところが彼が、
要所要所で
話を端的にまとめているからこそ話し上手なのだと
気付いている人はあまりいないでしょう。
今度テレビを見る時は
そのあたりに注目してください。
ほとんどのゲスト出演者は、
まるで友人や職場の同僚同士の会話のように
とりとめもなくしゃべりつづけます。
それを上手くまとめているのが、さんまさんです。
相手が素人であれば、
まず、ニックネームをつけます。
あるいは、その日の衣装やメイクについて
「○○が××したような服、着やがってー!!」と
一行で言い表します。
またゲスト達の体験談を聞いた後、
節目節目で必ず「あー、○○ということやー!」と
一行で話をまとめます。
そして以前から話題にしていることであれば
「あの、○○男の話や!」
と、ひとことタイトルで思い出させます。
過去に同じ話がある地点まで到達していたら、
このひとことタイトルのおかげで、話を1からし直さなくていいわけです。
このように明石家さんまさんは、
おしゃべり=たくさんしゃべるというイメージですが、
実は大事な所では
極めて短く言い表す技術を駆使しているのですね。
端的にまとめる癖をつける
まずこれは、極めてテレビ的な要因が考えられます。
長時間収録されたトークは、
編集で、短くてわかりやすい言葉以外はカットされてしまう確率が高いため、
カットされないよう、インパクトのある言葉を選択し続けた結果、
そういったスタイルにたどり着いた、のかもしれません。
私たちは、さんまさんのように
立て板に水でたくさんしゃべる必要はありませんが、
端的にまとめる癖は
真似してみると、大いに役立つと思います。
具体的には、
人の話を聞いたら、
それに一行のタイトルをつけてしまいましょう。
またそれが難しければ
ことわざや故事成語
あるいは俳句・川柳などを使うのもいいかもしれませんね。
これは
人の話をよく聞いて理解する、ということにもつながりますから、
「話し上手は聞き上手」の法則にもあてはまることです。
みんなの話をまとめるだけで、面白い人になれるチャンス
また、
自分の個性に悩む方にも、このやり方はオススメです。
まったく新しい話を創造するのが苦手であっても、
相手の話を聞いて、それを上手くまとめればいいのです。
たとえ、
自分の体験談などの面白ネタを持っていなくても、
人の話を聞いた後のまとめ方の「切り口」が印象的であれば、
聞き手は相手のことを、
個性的な話ができる人だと思うものです。
「話し上手になる」というのは
捉えどころのない漠然とした取り組みのようですが、
「端的に言い表す努力」と考えれば、
かなり具体的に感じることができるのではないでしょうか。
「話し上手とは、コピーライターのような才能でもある」
と、意識するようにするといいと思います。
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