助詞の発音の美しさが話し手の品格を高める。早口言葉でワ行「わ」「を」を練習しよう
「仕組み」として言語化したオリジナルコンテンツです。
応用すれば、あなたの話し方も変わります。
「発音のクセの克服は、自分が生きてきた何十年かを取り戻す作業である」


発音、滑舌について、
各論を進めています。
今回は、ワ行、
この発音克服シリーズ、最後になります。
まずは、
いつものように、正しい出し方を知ることから始めます。
ワ行と言っても、
「わ」と「を」しか、ないじゃん!
と思うかもしれませんが、
それは、
現代仮名遣いの表記では、という話。
発音は、
車のギアに例えるなら、無段変速、
息と口の形の使い分け次第で、
文字にはないような、
さまざまな曖昧な音も出せますよね。
そして、
今回のテーマ、
ワ行の発音とは、
両唇接近音あるいは両唇軟口蓋接近音から
少しだけ唇を突き出して短く発音する音。
つまり、
唇も軟口蓋も、くっつかないで、
微妙に空間がある状態です。
わかりやすいのは、
「あ」と「わ」を出し分けてみることです。
「わ」を出す時には、
母音の「あ」の前に、
頭子音の「ぅ」みたいな音が付きますよね。
この、唇を意識する感覚で、
同様に、
「ぅあ」「ぅい」「ぅう」「ぅえ」「ぅお」と音を出せば、
現代仮名表記にはないワ行の音も、
発音上は成立させることが可能です。

「を」は、助詞以外はない

もう一点、
「を」については、
助詞の「を」を除いて、
現代仮名表記は「お」に統合されています。
ですから、
私たちが「を」を発音する機会は、
助詞として「を」と言う時ぐらいしかありません。
助詞といえば「は」も、
「わ」と発音するわけですが、
助詞としてワ行を発音する時は、
音がやや曖昧気味になりませんか?
例えば、
「ワニ」と発音する時と、
「あなたは」と発音する時。
私たちは瞬時に、
上述の、
両唇接近音と、
両唇軟口蓋接近音を使い分けているのだと思います。
助詞のワ行では、
調音点を唇よりも奥に意識すると、
言葉の流れの中での助詞が、
自然で柔らかく聞こえます。

発音には正しい「型」がある。練習前に正しい型を身につけよう

では今回も、
早口言葉でチェックしてみましょう。
毎度繰り返しになりますが、
早口言葉は筋トレと同じです。
正しい発音を知り、
確実に粒だてながら発音をしようとしたときに、
ある音からある音へ、
移り変わろうとする時に難しいと感じる、
苦手な言い回しの壁にぶつかります。
それを絶えず口ずさむようにすることで、
いつの間にか苦手が克服され、
するん、と、
言えるようになっています。
そのための、
発音の筋トレです。
ウェイトトレーニングをやるときには、
正しい姿勢と動かし方の指導を受けますよね。
それは、
やり方を間違えたままトレーニングを続けると、
怪我をしてしまうからです。
発音練習も同じです。
正しい発音を意識せずに、
早口言葉だけやったとしても、
その言葉を速く言えるようになるかもしれませんが、
それは、発音のクセを増幅させるにすぎません。
大事なのは、
正しいフォームを守って、
ゆっくり確実に行い、
だんだん速く言えるようにすることです。

発音の癖は、自分が生きてきた長い時間のなかの無意識の蓄積

早口言葉の効果は、
意識して練習し、
無意識的に克服できる、
これがとても重要なポイントです。
実は、
私も苦手な発音はたくさんあります。
アナウンサーですから、
それを意識した上で、
うまく仕事として成立させなくてはならないのですが、
意識しすぎると、
それが体を堅くして、
ますます音が出にくくなってしまうのです。
それが恐ろしいと思えば思うほど、
症状は悪化しますから、
それを意識しすぎないよう、
自分が設けたハードルを上手に無視する、
そのスイッチを入れることが必要なんですね。
かといって、
注意ポイントを本当に無視してしまって、
クオリティーが元のままなら、まるで意味がありませんから、
意識はしないようにしつつ、
苦手な発音も思い通りな美しさで、実現したいわけです。
そのための、
日頃の反復練習による、
無意識のうちの克服なんですね。
発音のクセは、
自分がそれまで生きてきた、何十年かの無意識の蓄積です。
つまり発音の改善、苦手の克服は、
その何十年かを、取り戻す作業ですから、
生半可な訓練では治らないものだと、
腹を据えて、
ぜひ習慣化してください。

早口言葉で学ぶ「ワ行」のポイントとコツ

では、
ワ行の例題です。
◆笑わば笑え、わらわは笑われる謂われはないわい
わらわばわらえ わらわはわらわれるいわれはないわい
◆岩井はお岩へお祝いを言う、お会いしてお祝いを言うわ
いわいはおいわへおいわいをいう、おあいしておいわいをいうわ
ポイントは、
1、助詞以外の「わ」はシャープに粒だてて、
2、助詞の「は」「を」は、一音分の音の長さを保ちつつ、柔らかく。
この2点です。
「わ」は、ア段ですから、
口の動きが大きい発音なのですが、
きちんと開ききらないと、
これが曖昧になりやすいものです。
両唇の先端を意識して、
短く「ぅあ」と粒立てること。
これがポイント1です。
ポイント2は、
助詞として発音する「は」と「を」が、
一音分の長さにならなかったり、
前の音と混ざってしまったりすることへの注意です。
上記の早口言葉の例題では
出てきませんでしたが、
例えば、
「こんなことを」
と言う場合、
「ことー」になってしまったり、
さらにはそれが、
「こと-」のように、助詞の「を」が短くなってしまったりすることが、
ありますよね。
助詞のワ行は、
唇を意識しすぎず、
口中の軟口蓋まで含めた柔らかい発音にはなりますが、
かといって、
一音分の長さを意識して、しっかり発音すること。
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ワ行だけではなく、
助詞の美しさは、
話し手の品格を高めると言っても過言ではありません。
上品な話し方が期待される職業、
例えば、
接客業などの方や、
文化人と言われるジャンルの方なら、
ぜひとも磨いてみることをオススメいたします。


© 話し方のコツ|心技体
著者:くまちゃんアナウンサー
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