甘えん坊の音「マ行」、どう発音するかでその人の性格が表れるのです
「唇の動きと位置によって、音の質まで変わる」
発音、滑舌について、
各論を進めています。
今回は、マ行です。
マ行の音はすべて、
両唇鼻音で、子音が有声です。
これはどういうことかというと、
「ま」でも「み」でも、
母音が付く前の頭の子音を出すと、
声帯が震えて音が出る、
ということです。
また、上下の両唇が接触してから離れる、
という動作が必要であり、
出る音は、鼻にかかります。
つまり、
「ま」は、ンま、と感じることができるわけですね。
以前にも書きましたが、
人間の出す音には「性格」のようなものがあり、
例えば、このマ行は、
新生児が言葉を話すときに、最初に発するようになる音、ですよね。
ママ、まんま、など。
幼児語が、世界中の言語で近いニュアンスになるのは、
哺乳類である人間の宿命なのかもしれません。
マ行の音にはそういう性格がありますから、
マ行が強調されるような話し方は、
少し子供っぽく、
甘えた感じに聞こえます。
これは、
その人の個性、魅力にもなりますし、
逆に、
「いい大人が、甘ったるい話し方をして!」という印象にもつながることがあります。
マ行の音が強調されるような話し方とは、
上記のような、ンま、と鼻にかかることと、
上下の唇の接触が、厚め、時間が長めの傾向があること。
具体的には、
前歯を包み込むほどに唇を閉じてから「ま」と言うと、
そういう発音になります。
いっぽう、唇の接触を素早くすると、
マ行が「ドライな」印象になります。
このあたり、適度に、
自分で制御できるといいのかも知れませんね。
「ま」「む」「も」と、「みゃ」「みゅ」「みょ」の発音の違い
また、マ行は、
「み」の頭子音に、
母音「あ」「う」「お」が付くと、
拗音「みゃ」「みゅ」「みょ」になり、
調音点は「み」よりもやや奥になりますが、
注意が必要なほどの違いはなさそうです。
みゃ、を、み・あ、と言ってしまっても、
違和感ないですよね。
ただ、早口言葉で、
普通の清音や濁音のなかに、拗音が混ざってくると、
混乱が引き起こされることが多いですね。
マ行は、発音を省略できないから、口が忙しい
では今回も、
早口言葉で確認してみましょう。
◆李も桃も、桃のうち
(すもももももももものうち)
◆ママ、豆、豆、と、ママに豆もらい、豆豆まみれ、ママ、ママと、もがく
(まままめまめとままにまめもらいまめまめまみれままままともがく)
すももの早口言葉は、
古くからあるものですが、
「も」だけが連続しますから、
慣れてしまえば、とても簡単だと思います。
ただ、この早口言葉をやってみて感じるのは、
マ行は連続すると、忙しい、ということですよね。
なぜ、マ行は連続すると忙しいのか?
もちろんそれは、
唇を合わせて離すという一連の動作が必要になるからで、
早口言葉としてマ行が連続すると、
口がそれに追いつかないから、なのですが、
もうひとつ忘れてはいけないのは、
マ行以外の他の多くの音は、
頭の子音は無声であり、
普段の話し方の中では、
ちょっと飛ばしたり、省略したりと、
楽をしながら、音を出しているということ。
それに対してマ行は頭の子音から有声音で、
手を抜くと違った音になってしまいます。
マ行は省略できないから、
手間がかかる。
そういう側面もあると思います。
ですから、
すべての音を、マ行ぐらいのボリュームで出す気持ちがあると、
一音分の音をしっかりと出す意識につながってくるはずだと思います。
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ママ、豆、豆、と、ママに豆もらい、豆豆まみれ、ママ、ママと、もがく
さて、もうひとつの早口言葉、
ママ~について。
これは、すもも~と違って、
マ行の音を出来る限りたくさん使って作られていますよね。
「む」以外は全部出てくるようになっています。
マ行のポイントは、
・母音をしっかり出すこと
・唇の動きの軽やかさ
です。
前述のようにマ行は、
ま~も、まで、
全部同じ音の出し方をしています。
母音で違いを付けないと、
極端な言い方をすると、全部同じ音に聞こえてしまう恐れもあります。
母音は口の形をしっかり作ること。
これは他の音についても言えることなのですが、
マ行は特に、口の形に影響を受ける音だと思います。
あいうえお、の口の形の変化と、
「ま」なら、ンまァ、ぐらいに、
母音を感じるまで、しっかりと音を出すことを、心がけます。
例えば、
これは私個人の傾向なのですが、
「む」が綺麗でないことが結構あります。
むかし、など冒頭から「む」ならいいのですが、
えむ、など他の音の後に「む」が続くときに、
唇を接触させながら、
う、の口の形を作るこの音が、
中途半端になるんですね。
また、
ママ~の早口言葉で、ママ、ママ、が言いにくかった場合、
マァマァ、と、
ァの母音がしっかり出ているか、耳で聴いてみてください。
母音が出きらずに、
次のマを言おうとしてしまっているので、
ママママが言いにくいのだと思います。
ですからポイント1の、母音しっかり、とは、
口の形の変化+その母音を耳で聞くほどに、
ということだと思います。
マ行の発音を綺麗にする、上唇のストレッチ法
もうひとつのポイント、
唇の軽さについて、練習法をまとめます。
唇、といっても、
動くのはほとんど上唇です。
上唇の動きと位置によって、
「音の質」まで違ってきます。
歯切れが良く、明瞭に聞こえる音を出すための上唇は、
少しめくれ上がって、
前歯がやや出る状態で、
前歯だけでなく、
奥歯の方まで綺麗に見えるぐらいの気持ちで。
この状態を俗に、
「口角を上げる」などと表現するのですね。
上唇を軽くするストレッチとしては、
まず、
鼻の下をぐーんと伸ばしましょう。
次に、唇を尖らせて、ひょっとこ顔に。
その状態で口全体を左右に動かします。
このときに、
鼻まで左右に動かしてしまうぐらいに。
また、
上唇が力んでしまうのも動きを鈍くしますから、
唇を素早くくっつけたり離したりすると、
パクパクと自然な音が出るほどに、
軽い状態にしておきましょう。
これらのポイントに留意すれば、
すもももももももものうち、
なんて、簡単に思えるはずですよ。
