実演形式でイメージするインタビュー「生きた言葉」の引き出し方
「今、搾りたての、生きた言葉を引き出す」

仮想対談、前回はどんなふうに作戦を立てるか、まででしたね。今回はいよいよ、実際の対談になるんですね。

人から話を引き出す、
というテーマで、
心構えや戦略について、
考察してきました。
詳しくは前回記事などを御覧ください。
しかし、
話すことを、どんなに頭のなかで考えても、
再現できなくては、意味がありませんよね。
今回は、
実際の会話形式で、解説を進めます。
インタビューのテーマは、
ある人=Aさんの仕事のこだわりについて、です。
では始めましょう!
(聞き手である自分を●、相手を▲で表します)

人と会って、質問を始めるのって、緊張しますね!!
相手と自分との社会的な位置関係を描いておく

(聞き手である自分を●、相手を▲で表します)
●「こんにちは、Aさん」
会話の入り方はとても大事です。
相手の名前を呼ぶことを意識しましょう。
人は名前を呼ばれると親近感を覚える傾向があります。
また、相手の名前を最初に呼んでおかないと、
なんだか名前をいいづらい、
関係を築きにくい状態になってしまうこともあります。
一度と言わず、
二度三度と、チャンスが有れば名前を呼ぶといいでしょう。
●「Aさんのお仕事は○○ということですけれど、
私から見ますと
○○って、こういうイメージです・・」
とか
●「先日、○○を使ってみましたが、良いですね~
自分用だけじゃなくプレゼント用にも買っちゃいましたよ!」
など、冒頭から、
相手の仕事が、
自分にとってどういう存在であるのか、
明らかにしてみるとよいかもしれません。
すると、
▲「あの仕事はね、
実は難航したんですよ!」など
いきなり思わぬこぼれ話が聞けるかもしれませんし、
ちょっとしたサプライズになって相手の心を刺激し、
会ったばかりの相手の懐に飛び込むことができます。
そして、
この記事では繰り返し指摘していることですが、
会話というのは、
お互いの共通認識ポイントを起点として進み、深めるものです。
その起点のレベルが高ければ高いほど、
話が早いわけですよね。
だからこそ、
自分が知っていることは、早めに表明するのが賢明です。
また、これによって、
相手の仕事と、自分を含めた社会との位置関係を、
最初に描いておくことができる、という点も重要です。
対談形式の会話となると、
目の前の人間との関係性に気を取られ、
相手と自分が快適に話すことに重点を置いてしまいがちですが、
インタビューの目的は、
ただ会話を成立させることだけではなく、
相手が発した言葉を、
第三者に聞かせたり、文字に起こしたりして、利用することです。
それに適した言葉や文脈になっているかどうか、
会話しながらも、
どこか冷静にイメージしていることが必要だと思います。
では、
対談を続けましょう。
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共通認識を最初に確認しておくことで、グッと話が早くなりますね。
相手の話を一度消化して、自分なりの理解を相手に伝える

●「ということは、
Aさんは、この(商品、サービス)の中で
こういう過程に携わっているわけですね・・
具体的には
日々、どういう仕事をしているのですか?」
と、
作業などの過程を、
時系列に従って語ってもらうのがわかりやすいでしょう。
具体的に語ってもらおうとする時は、
例えばそれが、
一日なのか、年間なのか、その役職としてなのか、
あるいは相手の心情を聞くときでも、
これこれこうした、その時の気持ち、など
答えの範囲を限定した質問を繰り出すこと。
相手にどういうレベルの具体性を求めているのかが、
わかりやすい質問をするよう心がけます。
また人に話を聞くときのポイントとして、
●「・・・というわけですね?」と、
相手の話を一度消化して、
自分なりの理解を相手に伝えるのも大事なことです。
優しい相手なら、
▲「ええ、そんな感じです・・」ぐらいで、
こちらの理解を認めてくれるかもしれませんし、
▲「いや、厳密に言うと違うんです・・」と、
こちらの理解のニュアンスの違いを指摘してくれるかもしれません。
でも、
そのように違いが明確になることは、
インタビューにとっては、しめたもの。
わざわざ違いを指摘してくるのは、
その人がその部分にこだわっているからであり、
その違いを掘り下げることが、
インタビューのテーマである「相手の仕事や人生」を浮き彫りにする、
チャンスになることが多いからです。
ツッコミどころですから、
さらに続けて、掘り下げます。
●「その中で
一番神経を使うのはどこですか?
(あるいは、ある程度分かっている場合は)
やはり○○が一番難しいですか?」
●「それの難しさというのは、どういう点なんでしょう?」
●「それをどうやって克服するんでしょう」
●「そのとき、どういうお気持ちで挑んでいるんですか?」
この質問の流れは、
ある意図を含んでいます。
それは、
仕事という物理的、客観的な事実から、
その仕事をする人の、
主観や感情、こだわり、哲学を引き出す、という意図です。
簡単な例で言うと、
▲「毎朝、4時起きなんです。」
というのは、
その仕事における客観的な事実ですよね。
そこから、
4時起きしなくてはダメな理由、
そしてそこまでやる気持ち、
やり遂げるための秘訣などを引き出すと、
それは哲学にまで昇華するわけですね。

なるほど!客観的な事実だけを聞いて終わりになっちゃうのは、物足りませんね。
相手に自分の心の深いところまで潜ってもらい、自分の言葉を絞り出してくれるのを待つ

このようにして気持ちや考え方を聞き出したことで、
その「人となり」が見え始めます。
狙いは、
「この人だからこそ、この仕事ができる」
という切り口です。
仕事→人
人→仕事
仕事から人が垣間見え、
人から仕事を描く。
隙きのない、
説得力のあるインタビューになります。
「人」という部分を掘り下げるのであれば、
経歴や、その仕事に就いたきっかけなどを聞きたくなりますね。
●「もともと
この仕事を意識したのはいつ頃なんですか?」
と振って
生い立ちに上手くつながればいいでしょうし、
●「ご出身は○○ですよね・・」
など生い立ちを促す言葉を選ぶのも良いでしょう。
子供の頃の性格にまで遡る必要を感じるなら
●「子供の頃はどんな子だったんですか?」
と単刀直入に尋ねるのもありでしょう。
●「それがどうしてまた、この仕事を?」
●「そんなご自分の性格が
この仕事のどこに影響しているとお思いになりますか?」
と聞くことで、
人→仕事、
「人となり」と「仕事」がつながるわけです。
●「嫌になっちゃう時もあるでしょう?
そういう時はどうするんですか」
など、
ダメだった時のことを聞くのも、人柄がでやすいものです。
そして、
●「今、伺っただけでも大変な仕事だと分かったんですが、
どうしてAさんはそれを続けられるんですか?」
と、
Aさんが思う、その仕事の魅力と
それに賭ける情熱を引き出します。
あとは答え次第ですが
もの足らないようであれば、
例えば、
●「将来はどんな仕事をしてみたい?」とか
●「この仕事がAさんに与えたものって何だと思いますか?」
など、
その仕事の本質につながるような
同様の質問を幾つかしてみるとよいでしょう。
ちょっと難しいぐらいでOK。
相手にわざと、
自分の心の深いところまで潜ってもらうのです。
そして、
自分の言葉を絞り出してくれるのを待つこと。
一回で決まらなければ、
2~3回、言い方の違う同様の質問をしてみるといいでしょう。
相手も、
聞かれているうちにだんだん、
自分の気持ちにちょうど当てはまる、いい言葉を思いつくものです。
これは、
冒頭のちょっと相手の心を刺激する質問と、原理は同じで、
その人が言い慣れている話ではなく、
今、搾りたての、「生きた言葉」を引き出す技術です。

生きた言葉を引き出せたら、それを記事にしても面白くなるでしょうね!
まとめ

ここまで、余談などを一切省いた、
対談での質問を挙げてみました。
あらかじめ描いた青写真は、
仕事を切り口にして、その人となりを浮き彫りにすること。
その点においては、
仕事→人、
人→仕事、
と、
両方の観点から生きた言葉を引き出し、
作戦は無事遂行できたのではないでしょうか。
では、まとめです。
・相手との共通認識の起点を探りながら話すこと
・自分の理解・認識を表明しながら話すこと
・答えの範囲を限定した質問で具体性を引き出すこと
・気持ち、心情、人間味、哲学を引き出すこと
・相手の心に刺激を与えて生きた言葉を引き出すこと

インタビューシリーズ、ありがとうございました!営業の仕事にも活かせることがいっぱいありました!
