(話し方相談)カラオケでは良い声だとほめられるのに、発音が不明瞭で相手に聞き返されてしまう

本記事は、アナウンサー歴36年で会得した話し方の技術を
「仕組み」として言語化したオリジナルコンテンツ
です。
応用すれば、あなたの話し方も変わります。

「発音が不明瞭で、相手に聞き返されてしまう」

大西祐輔(アナウンサー志望)
大西祐輔(アナウンサー志望)
自分の発音の欠点って、相手の反応でわかることがありますよね。

ご相談を伺うと、実際にどういうことが悩みの原因になっているのかがよくわかり、私も勉強になります。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

さっそくですが
ご相談メールをいただきましたので
今回はそれにお答えしていきましょう

そのまま掲載しても問題ない状態かと思われますので
原文を貼付させていただきます

***
**

私も、声で困っています。
どんな状況かというと。

・職場での会話はほとんど問題はありません。
時々、聞き返されるのがちょっと嫌という程度。

・ 家族と会話するときは、早口、不明瞭だといわれることが多いです。

・職場関係で飲みに行くと、なぜか、聞き返されることがよくあります。
→ この点が最も気になっています。

・酒を飲むと、声は大きくなっているのに反して、なぜか不明瞭になっている
ような感じです。

・逆に、カラオケで歌うと、よい声だとほめられることがあります。

・普段から姿勢も悪い方で、気を抜くと猫背になってることが多いです。

・浅田飴やサプリメント等は効き目があるのでしょうか?


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***

ご覧のような内容でした

わぁー、こういう感じ、私と同じですね。
つまり、気をつけていればなんとかなる可能性大ですよ!

◆この記事の著者がビデオ通話で個別指導、ご相談は1回から承ります。
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大西祐輔(アナウンサー志望)
大西祐輔(アナウンサー志望)
すごくリアルな感じがしますね。

声と音を分けて考える

では分析から始めましょう
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

まず最初に一つ、明確にしなければいけないことがあります

それは
このAさん(仮、以下Aさんで)が
「声」とおっしゃっているものの中には
「声」と「音」が混在している、ということです

ごく簡単に言い換えると
犬がウーッとうなるのは声ですが
人が出し分けている声は、音なのです

今回は難しい理論は抜きにしますが
その違いを、ご自分の体で感じてみてください

例えば
口をだらしなく広げて
「あ〜」やら、「や〜」やら
あくびの時のような声を出してみてください

次に
「たちつてと」とか、「らりるれろ」とか
音を出してみてください

この違いはなんでしょう?

そう、
この場で音と呼んでいるものとは・・・

『体の奥深くから湧き上がってくる声を
口の中のある部分を意図的に使って
さまざまな音色に変化させたものだ』

ということが
お解りいただけるのではないでしょうか

ラッパや笛の穴を指でふさぐことで音色を出し分けるのと
考え方は同じです

でも声がいろいろな音に変わる瞬間って
突き詰めるととっても神秘的ですよね〜

人体は
自在に操ることができる超高度な楽器でもあるわけですね!

それを踏まえた上で、今回のご相談に戻ります

ひとことで
Aさんの話し方を評するならこういうことです

「声は問題なし。音の作り方が『甘い』」

という現象です

ですからAさんは、
「なぜ『甘く』なるのか?」
についてだけ、考えればよいのだと思います

大西祐輔(アナウンサー志望)
大西祐輔(アナウンサー志望)
なるほど、声を出し分けて、音にしているんですね。犬の声は、ほとんど出し分けてはいないですよね。何パターンかはありますけど。

音の作り方が「甘く」なるポイント3つ

音を豊富に出し分けられるから、意味の違いを表せるんですね。
くまちゃんアナウンサー
くまちゃんアナウンサー

さあ、対処法についてお話ししていきましょう
音が甘くなる傾向にある人についてです

いきなりポイントを3つ挙げちゃいますと、

1、調音点
2、口の形と、口腔内の空間の大きさ
3、呼吸の深さ

以上の3点に絞られると考えられます
各ポイントについて解説していきましょう

1、調音点

調音というのは、口の中で音を形成している、まさに「点」です

わかりやすい例で考えてみましょう
「たちつてと」と言ってみてください

特に、「た」「て」「と」の音を作るには、どうしていますか?

そう、
体から声が湧き上がってくるやいなや、
上あごの歯の裏あたりを舌で弾き
そのエネルギーをぶつけることで
「た」「て」「と」の音がでていますよね〜

舌で弾くかどうかは音によって違いますが
声のエネルギーが
口の中のどこかに当たって音となっていることは
どの音でも違いはありません

その
エネルギーが当たっている口の中の点こそ
いま話題にしている「調音点」なのです

Aさんはメールによると
普段は早口で不明瞭、とのことですね

そういう人の特徴は
調音点が比較的「前方」にあるということです

俗にいう
「滑りやすい」状態です

例えば
「らりるれろ」と言ってみてください

滑りやすい人は「らりるれろ」と言うと
「だでぃどぅでど」に近くなりがちです

つまり
本来、舌が上あごの前歯の裏の、上(奥)の方を
しっかり弾かなくてはならないところを
弾ききれていない
ということです

調音点が浅い、前方にある人は
それをやや奥目に修正してみることが必要です

いまのポイントよりも
奥になっても音は出せるということを
確認してみてください

そしてそれは
次のポイント項目にも関連してくるので
先へ続けましょう

2、口の形と、口腔内の空間の大きさ

話し方の指導というと、
だいたい出てくるのが「口の形」です

発音は
日本語の五つの母音を発するときの口の形と
子音を出すときの唇や舌の使い方の組み合わせによって
成立していますので

これらを正確にすることが
美しい発音につながります

Aさんは
1で指摘した調音点だけでなく
この口の形が「あいまい」であることが
考えられます

アならアの、口の形
オならオの、口の形があるのは誰でもわかりますよね?

英語の(ae)とか、韓国語など中間的な母音が多い言葉と違い
日本語は歴史の中で
母音の無駄が削ぎ落とされてきました

現在は5つしかありません

よって
母音から母音への変化が明瞭であるほど
美しいと感じるわけです

アア、アイ、アウ、アエ、アオ
イア、イイ、イウ、イエ、イオ
ウア、ウイ、ウウ、ウエ、ウオ
エア、エイ、エウ、エエ、エオ
オア、オイ、オウ、オエ、オオ

母音の変化といえば、これがすべてです
あえて同じ母音の連続も入れておきました
これに子音が加わると、バリエーションは一気に増えます

このなかで
苦手なものはありますか?

そして
多くの人が苦手なものはどれでしょう?

ちょっと考えればわかりますよ

それは・・

口を一番大きく開けるのが「ア」の音のときですよね

つまり
小さい口の状態から、「ア」と大きく開ける瞬間が
一番「かったるい」わけですよね〜

発音が不明瞭な人は
この「かったるい」部分を
若干「さぼって」いるわけです

お酒を飲むと
発音がグズグズになってしまう理由はここにあります

また
家族と話している時は
その慣れと気楽さから
明瞭に話そうという緊張感を失っているために
口の動きがおろそかになっているのではないでしょうか

ですから
Aさんに送る処方箋としてはまず
イア、ウア、エア、オアと、
それに子音を付けた各行の、ア段への変化
(キカ、クカ、ケカ、コカなど)
を意識してみることでしょう

このとき大切なのは
イアが、イヤにならない
ウアが、ウワにならない
エアが、エヤにならない
オアが、オワにならないことです

イッアッ、ウッアッ、エッアッ、オッアッと
粒立てながら母音の変化を確認しましょう!

さらに
ここでもうひとつ・・
口腔内の広さという話です

発音の明瞭さ=(上に示したように)口が良く動くこと
というと

とにかく口をパクパク動かすことに
一生懸命になる人も多いようです

しかしポイントは、
口腔内の空間の大きさを確保することだと思います

口腔内の空間を体感するために
唇を閉じたまま
舌で上あごの内側をぐぐっと持ち上げてみてください

口の中が広がっている感じ、わかりますか?

このように口腔内にしっかり空間を作ることで
調音が力強くなり
明瞭な発音が可能になります

上手いアナウンサーほど
口の動きは自然なのに
一音一音はしっかり粒立っているものですが
その理由は、口腔内の広さにあるといっても
過言ではないでしょう

3、呼吸の深さ

もう一つは
息の使い方です

音がひとつひとつ粒立っているのが
明瞭な発音だとするならば

その音ひとつには
それぞれひとつ分の息が使われています

その点、Aさんは
呼吸が浅い=しっかり吸えていないため
息の使い方の「少ない」音が出てしまっているのではないかと
考えられます

具体的には
例えば、そうですねえ〜
あ、いま手元に、コーヒーがあります

英語では
「カフィ」と、1拍で読んでしまいます

しかし日本語では
「コオヒイ」となります

これが「コヒ」になってしまうのが
「ひとつ分の息が使われていない」ということです

こころあたりありませんか?

Aさんの症状の中に
姿勢が悪い、という自覚がありましたが
確かにそれは
息がしっかり吸えない原因の一つでしょう

息は、吸えないと吐けませんし
吐けないと吸えませんよね

また
カラオケはうまい、とありました

歌謡曲というのは
歌詞の音ひとつひとつに、音符が乗っているので
いやがおうにも「ひとつ分の息が使われ」ているのですね〜

ですから
Aさんにおすすめするのは
カラオケを歌う時の感覚で
一音一音を確実に出すよう心がけること

そしてもう少し
深く息を吸えるように
腹式呼吸を覚えるとよいでしょう
(でも呼吸って生まれた時からの癖なので
なかなか変えられないのよね〜)

腹式呼吸で声を出すとはどういうことか
理解する為の方法をご紹介します

最初は仰向けの姿勢でやると良いでしょう

深いため息のように
「はあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」と
声を出してください

「は」は発音せず、
本当にため息の「は」です
そこから連続して出る「あ」は、音に出してくださいね

そして
息を最後まで搾り出すかのように
ぎりぎりまで「あ〜〜〜〜・・・・」

出し切ったら
また息を吸って、繰り返してください

どうですか?

実は
最後の方の「ああああ・・・・・」こそが
腹式呼吸で出た声なのですよ!!

その感覚を
まずはつかむことから始めてみてください

ついつい長くなってしまいました

以上のような、切っても切れない3要素が絡み合って
曖昧な発音につながっていることが
お解りいただけたのではないでしょうか?

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大西祐輔(アナウンサー志望)
大西祐輔(アナウンサー志望)
これら3つの要素のバランスが崩れていると、発音が甘くなるということですね。

声と発音のメンテナンスに

さいごに、体とメンタルについてです。
くまちゃんアナウンサー
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ご質問のなかに
のど飴などは?
というものがありましたね

Aさんは声自体には問題がありませんので
のど飴などは
のどの調子が悪い時だけで良いかと思います

発音を明瞭にしたいのであれば
ガムを噛むと良い
(ような気がします!
口腔内がすっきりするので
私は本番前に噛むことが多いです)

また、
表情筋の訓練も、効果があるそうです

よく話題になる「ペットボトル吸い」は
確かに口の周りの筋肉が活性化するようです

ペットボトルは吸わなくても
唇でくわえて
左右に動かすと、さらに強力です

あと、早口とメンタルについて。

早口は、自分の頭の中の「考えのひとかたまり」を、
一気に言葉にしようとしてしまうために起こります。

考えのひとかたまりは、
頭の中ではデータですので、
一瞬で把握できるものなのですが、

それを音で表すと、
言葉分の時間がかかってしまいます。

その時間を我慢できるかどうかの、
習慣の問題になるのですが、

Aさんの場合、
それをとにかく早く言いたい癖があるため、

早口になるのはもちろん、
音の一つ一つが短く中途半端になったり、

次の音とくっついてしまったりして、
聞き取りにくくなっているものと思われます。

その点については、
また別の機会にお話ししますね。

滑舌についての過去記事はこちら

【当サイトの記事内容を参考に二次利用される方は、必ず出典元としてサイト名とURL「話し方のコツ、心技体 https://kumagaiakihiro.com」とご明記くださいますようお願いいたします。】
 
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大西祐輔(アナウンサー志望)
大西祐輔(アナウンサー志望)
そうか、そもそも早口になってしまうメンタルが、発音として表れているわけですね。
ですからメンタルを整える方向からと、滑舌改善という物理的な方向、両面から考えなくてはいけない問題なんですよね。
くまちゃんアナウンサー
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© 話し方のコツ|心技体
著者:くまちゃんアナウンサー

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