ナ行は言葉の最後に来ることが多いので、ナ行が綺麗になると話し方が洗練されるのです
「ナ行がしっかり出ると話し方が洗練される」
滑舌克服のためにやるべきことの基本原則は、
・正しい音の出し方を理解すること
・一音一音を強く正確に出すこと
正しい出し方を知ることは、
今の自分のやり方とのギャップを理解させてくれます。
そのギャップが解消できるように、
自分が音を出しにくい「言い回し」を見つけて、
それを繰り返すことです。
自分にとって発音しにくい言い回しは、
別の人にとっては、
「なんでそれが?」
というぐらい簡単なものかもしれません。
ですからやはり、
それは自分で見つけていくしかないと思います。
例えば、
先日、私が自分の発音で気に入らなかった事例で、
「これらのものの・・」
というものがありました。
これが、
言いにくい言い回しの発見ですね。
確かに自分の傾向として、
ラ行はあまり得意でないのですが、
レラレラレラレラ・・
と言うのは簡単なのです。
ところが、
文章の中で、これら・・と続くと、
レラが綺麗に出ないのですね。
同様に、
「ものの」も美しくない。
そのギャップを解消するためには、
どうすればいいのか、
まずやるべきことは、
一連の言葉を流さずに、
一音一音区切りながら、強く発音してみること。
こッれッらッのッもッのッのッ
とやってみると、
おそらく誰でも簡単に、
自分の言いにくい音が出せるのではないでしょうか?
要は、
連続の中で音を出すのが難しいわけですよね。
最初に気付くのは、
「こ」を強く出すと、
次の「れ」が出やすくなるな、ということ。
そこで、
「こ」を強くするだけでなく、
調音点を少し上顎硬口蓋の奥の方に移動させました。
「こ」が出やすくなると、
「れ・ら」も出やすくなったのですが、
実はこの一連の発音を、
もっとシンプルに意識できる方法を見つけたのです。
それは、
これらの、の、「の」だけしっかり出すよう意識すると、
「これらのものの」全体がうまく言えるようになるということ。
おそらくその理由は、
後からくる「の」をしっかり出すぞ、と意識すると、
自然とその前の「これら」も同じ調子で粒だてるようになったことと、
「の」をしっかり出し切ったことで、
次の、唇を合わせる「も」の発音が力強くなった、
のだと思います。
と、これはある日の私の経験のひとつなのですが、
正しい音の出し方を知って、
自分のやり方とのギャップを認識し、
克服するための言い回しの練習をして、
発音・滑舌を良くする過程、
というのは、
こういうことです。
「ナ行」の正しい発音の仕組み
では、
引き続き、発音の各論を進めていきましょう。
今回は、ナ行です。
まずは、
正しい発音を知ること。
ナ行の子音「n」は、
「な」「ぬ」「ね」「の」が、
歯茎鼻音、
「に」が、
硬口蓋鼻音
つまり、
「な」「ぬ」「ね」「の」は、
歯茎の裏辺りに舌の先が当たりながらも、
タ行のように
弾いたり擦れたりして出る音なのではなく、
鼻に響いて出る音、
「に」は、
舌の奥が上顎の前部、硬口蓋に触れながら、
鼻に響いて出る音です。
イメージとしては、
強調すると、
んな、んに、んぬ、んね、んの、
のように言える音だと思います。
ナ行の発音を、早口言葉で練習する方法
では、
欠点を克服するための、
苦手な言い回しはどういうパターンなのか?
早口言葉で確認してみましょう。
「引きにくい釘、抜きにくい釘、引き抜きにくい釘」
「あのアイヌの女の縫う布の名はなに?あの布は名のない布なの」
・・・難しいですね~!
ナ行を綺麗に発音するためのポイントは3点、
・「n」の鼻音から粒立てるようイメージすること
・舌が歯茎の裏辺りをしっかり弾くこと
・舌の弾きで全て解決しようとするのではなく、
短く勢いのある息を同時に吐くことを心がけること
まず、
口をほとんど動かさず、
「んッ(ナ)、んッ(ニ)、んッ(ヌ)、んッ(ネ)、んッ(ノ)」
と言ってみましょう。
このように鼻音で一音一音をしっかり粒立てる習慣がないと、
「引きにくい」の「に」を出すのに苦労したり、
「布の名は何」が難しく感じることと思います。
同じ調子で、
「ひきにくいくぎ ぬきにくいくぎ ひきぬきにくいくぎ」
「あのあいぬのおんなのぬうぬののなはなに あのぬのはなのないぬのなの」と、
早口言葉をやってみましょう。
息をしっかり吐きつつ、
鼻音を粒立てることで、
さきほどは難しかった早口言葉が簡単に感じるようになったはずです。
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あのあいぬのおんなのぬうぬののなはなに あのぬのはなのないぬのなの
もうひとつ、
この早口言葉をうまく言う注意点として、
ウ段、オ段への意識があると思います。
ヒキヌキ、
アイヌノ、
オンナノ・・
「おんなのな」と
ア段へ移るのは比較的簡単なのに対して、
「きぬ」
「なの」
「ぬのの」という
ア段やイ段からウ段・オ段へ、という音の並びが、
やや難しいのだと思います。
ウ段・オ段では、
口の上下だけでなく、前後の動きも必要だからです。
「名のない布なの」が難しく感じるのは、
「なのない」でア段・イ段の口の動きで慣れてしまった後に、
「布なの」が控えているからですね。
ですからこの場合は、
布なの、の前の、
名のない、で気持ち区切ること。
気持ち区切ることで、
口がリセットされて、
正確なオ段の「ぬ」の発音がしやすくなるわけです。
ナ行は言葉の最後に来るとき、流されやすい
最後にもうひとつ。
ナ行は、
綺麗「な」
友人「に」
私「の」
など、
形容動詞の活用形であったり、
助詞であったりと、
言葉の区切りになることが多いため、
これが美しく決まると、
話し方がグンと洗練されてきます。
逆に言うと、
ナ行を流してしまう話し方をしてしまうことが多いのも事実。
一度意識して取り組んでみる、
価値はあると思いますよ。

