方言を矯正し、発音を綺麗にする
染み付いた訛りを一旦体から抜く
今回は、
「方言、訛りを矯正すること」について考えます。
前回の「方言の活用」でもお話しした通り、
方言は同じものを使う仲間同士であれば
なんら不自由はありませんし、
むしろ
親密感を高めるなどのメリットがありますから、
それが自分の個性だという信念があれば、
やっきになって直すほどのものではないかもしれません。
ただ、
意図的に使い分けられるようになりたいのであれば、
やはり、
染み付いた訛りを、一旦は体から抜く必要があるでしょう。
アナウンサーになろうとしている人ばかりではなく、
例えば、
人前で、
なんらかのアナウンスメントをする可能性のある職業の人や、
使命を帯びて、
多くの聴衆を前にプレゼンしなくてはならないビジネスパーソンは、
より洗練された共通語を使うべきでしょう。
方言は
人情や暖かみを演出する一方で、
あか抜けない、野暮ったい印象を与えます。
また
方言にしかない言葉を気付かずに使ってしまい、
肝心の内容が伝わらなかったり
意味不明になったりする可能性も否定できません。
さらに
少し言いにくい話なのですが、
東京で働く人のなかには、
「いつまでたっても方言を直さない人」を
不快に感じることがあるようです。
できれば方言は
意識して操れるものであったほうがよいと思います。
共通語を話すメリットは、
より多くの人に通用し、
より誤解が少なく、
聞き手に与える余計な心理的影響も最小限である、
ということだと思います。
方言を矯正するための大前提
方言を矯正するにあたり、
大前提がひとつ。
それは、
直したい人は、
本気で「直したいと思う」ことです。
直らないと言っている人のなかには、
方言での会話を楽しんでいる、
実は直す気がないというケースがみられます。
また、
そんな自分が好き、という人もいます。
上記の、
なかなか方言を直そうとしない人が与える不快感は、
その方言自体よりも、
開き直ったかのように映るその姿勢の問題なのかも知れません。
染み付いた訛りを一旦体から抜く方法、ポイント3点
染み付いた訛りを一旦体から抜く方法、
ポイントは3点です。
1、母音の発音をシンプル化すること
2、アクセントの高低を明瞭化すること
3、独特の単語や接尾語、言い回しがあることに気付くこと
1、母音の発音をシンプル化
まず、
ポイント1。
「方言=訛り」と揶揄される最大の要因は、
母音が曖昧になる傾向があるからです。
日本語の共通語の美しさ、
それは、
無駄が削ぎ落とされ、磨かれ、洗練されているという点です。
日本語の共通語には
母音がたった5つしかありません。
しかし、古くは、
ア、イ、ウ、エ、オ以外にも
それらの中間的な母音が使われていたそうですし、
方言にも、
中間的な母音が残っています。
まずはそれらの「曖昧な母音を排除」すれば
手っ取り早く、
共通語らしい発音になることができるのですね。
そのためには、
「各子音×5つの母音」という、シンプルな音の出し方を、
徹底して身につけること。
そして、
自分で音を出してみて、
それが綺麗な発音であるか、
自分の耳で確認できるようになることが大事です。
綺麗な音かどうかを、
自分で確認できるようになるためには、
どうすればよいか?
最大の理解は、自分でやれること
それは、
綺麗な音も、曖昧な音も、
自分で意図的に出せるようになればよいのです。
ものごとはなんでもそうですが、
最大の理解は、
自分でやれることだと思います。
つまり、
発音練習として、
あえて、
曖昧な母音を出してみるのです。
アイウエオ、イウエオア、ウエオアイ、エオアイウ、オアイウエ
カキクケコ、キクケコカ、・・
と続く発音において、
アとイの間にも、
イとウの間にも、
ウとエの間にも、
エとオの間にも、
オとアの間にも、
中間的な母音があり得ますよね。
音として、出そうと思えば出せると思います。
そういう音を、
あえて出してみて、
シンプルなアイウエオとの違いを感じてみること。
そうすることで、
方言の矯正のための「耳」ができ、
またそれを自分で再現できるようになるわけですね。
共通語を聞いたあとに
地元の言葉を聞くと、
あれっ変だな、と思うような感覚がまず大切です。
身近にいる共通語の人と話したり、
テレビやラジオの復唱をしてみるなど、
日常的に気をつけていると良いと思います。
また、
発音練習「アメンボ赤いな」で知られる、
「五十音」などを音読してみるのも
おすすめです。
母音をシンプルに出せるようになったら、
同時に、子音をシャープに研ぎすませてみましょう。
そうやって、
自分の発音を磨いていくわけですね。
次回は、
ポイント2、3、
アクセントと
方言ならではの単語や言い回しについて考えます。