2016年最後にアップする記事は、

私が今年読んだ本の中で、一番気に入った作品の紹介です。

それは、「クリエイターズ・コード」

 

著者は、エイミー・ウィルキンソン、

アメリカ・ホワイトハウスのアドバイザーを務めた経験も持つ、戦略アドバイザー。

ここで言うクリエーターとは、

起業家のことです。

本著では、

年間売上1億ドル以上あるいは従業員10万人以上の企業の創業者、

200人へのインタビューによって、

その人達の「考え方」「行動パターン」「人間性」などを分析、

彼らに共通する、6つの素養を発見、提示しています。

それが「クリエイターズ・コード」というわけです。

 

私がこの著作に惹かれるのは、

その論理が極めて緻密で隙がなく、

合理的で説得力に優れているという点です。

成功法を説く著作は、世にあまた存在しますが、

これほど多くの実例から導かれた、という点においては、

本著に優るものは少ないのではないかと思います。

現在は誰もが知るスポーツ用品メーカー「アンダーアーマー」などの新興企業が世に認められる前の苦闘や、

ネクスト・スティーブ・ジョブズの筆頭格「イーロン・マスク」のビジネスの経緯など、

地道で丹念な取材によって得られた成功譚が、

全編に散りばめられています。

 

また、

テーマの核心である6つの素養「クリエイターズ・コード」は、

あくまで著者の分類によるものであって、論理の弱点にもなり得る急所なのですが、

その点を、

心理学・社会学を始めとする様々な検証実験の結果を挙げながら、

裏付けしているあたりも、念が入っています。

例えば、6つの「クリエイターズ・コード」のひとつ、

相手を心から助けようとする行動「小さなギフト」について、

いくつかの実例を挙げながら説明しています。

一部引用しますと、

『2012年12月、カナダのマニトバ州ウィニペグにある大手ドーナツチェーンのティムホートンズのドライブスルーで、

1人の客が後続車の支払いも一緒にすると申し出た。すると「さざ波効果」が起こり、

226人が後続客の代金を支払った。』

『互いの親切行為による乗数効果は、3~5倍になる。

カリフォルニア大学サンディエゴ校のジェームズ・ファウラー教授とエール大学のニコラス・クリスタキス教授は、

この現象を「社会的伝染(social contagion)」と呼んており、

親切にされた人は一段と親切にしようとする・・』

のだそうです。

つまり、成功した創業者が(物とは限らない)小さなギフトを贈る習慣を持つからこそ、

味方も多い、ということ。

情けは人のためならず、とは昔から言われますが、

実例とともに聞かされると、心に響きますよね。

 

そういった心に響く言葉が、

起業家たちの言動や、興味深い実験、実例として語られており、

著者の感想や意見として述べられているわけではない、という点が、

上述で、緻密で論理的と表現した理由です。

タイトルが「THE CREATOR’S CODE」であることからもわかるように、

成功者に共通する要素を解明しようとする行動を「暗号の解読」と位置づけているのは、

この調査を科学的に行おうとする姿勢の表れでしょう。

また、天才とも呼ばれるような起業家たちの素養を分析して著すという、この一連のプロジェクトには、

誰でも模倣、学習できることが念頭に入れられており、

それが、この著作を読みやすくしている原因のひとつだと思います。

 

成功した起業家たちの能力の本質を知りたくて読み進めるうちに、

著者の丹念な仕事っぷりににも頭が下がる。

そんな、出色の良著です。

 

では、良いお年を。

オススメ度★★★★★