「間で、意味の違いを正確に伝える」

話し方を磨くうえで、
目指すべき究極の技術が、

ギャップ・メリハリです。

これは、
自分の意図を、

より効果的に相手に伝えるための、
演出法、

と言ってもいいかもしれません。

そして、
今、一連の記事のテーマにしている、

「ストーリーのあるお話を、
語って聴かせる時」

にも、もちろん、

あらゆる要素において、
ギャップ・メリハリは有効です。

そのなかで、
無音、間(ま)の効果について、考えています。

間を作ることによって
得られる効果は、

・時間の経過、一瞬あるいは永遠を感じさせる
・場面の転換を表す
・言葉の意味に違いを与える
・無音の間に、聞き手の想像力が高まる
・無音を破る音への集中力が高まる

など。

前回の記事では、

間で、
時間経過を演出する方法について、

お話しました。

(詳しくは前回の記事を御覧ください)

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「区切り方」次第で言葉の意味が変わる

今回は、
間の一番基本的な機能である、

「言葉の意味に違いを持たせる」
という要素について、

考えてみます。

これは、
音、言葉の「区切り方」の問題です。

ストーリーの語りだけではなく、
原稿読みなど、

話し方のあらゆるシーンで
大事な要素です。

言い方を換えると、

区切り方次第で、
意味が違ってくる、

ということです。

これは誰でも、
経験したことがありますよね。

簡単な例で言うと、

「日本経済新聞」

区切るとしたら、
どこで区切りますか?

日本・経済新聞なのか、
日本経済・新聞なのか。

気づかれた方も多いと思いますが、

現実的には、
間を取るのではなく、

イントネーション、
アクセントの違いで、

その区切りは表現されています。

上記の日本経済新聞の例で言えば、

に┌ほんけいざいし┐んぶん
というアクセントとなり、

つまりこれは、

「日本経済」の複合性が強い単語なので、

日本と経済は区切っちゃダメ、
ということなのですね。

おそらく、

日本経済「の」新聞なのであって、
日本の、経済新聞と言いたいわけではない、

ということなのだと思います。

ちなみに、

日本経済と新聞との間には、
まったく時間的な開きはないのですが、

日本経済「の」新聞という意味での、
「の、の気持ち」が少し入っている状態ではないでしょうか。

アクセントだけに気を付けたうえで、
全部を繋げて読んでもいいのですが、

日本経済「ぃ」新聞、

みたいに、
わずかばかりの区切りの気持ちを入れて読むと、

意味が伝わりやすくなります。

このような、
「区切りの気持ち」が、

最短の間の表現です。

言葉の意味にこだわる話し手は、
こういう小さな区切りも意識しているのですね。


間の長さで意味を表現し分ける

後は、

間の空白時間の長さを、
自在に操るのが、

話し方のテクニック、ということになります。

そして、

意味の違いも、
間の長さで表現し分けることができる、

というわけです。

私は、
「会社法」という法律の朗読を、

条文が流れる動画にして、
YouTubeで公開しているのですが、
www.youtube.com/kumagairadio

この「会社法」が
とても難解なんですね。

どこで区切るか、
この言葉は、どの言葉に掛かっているのかが、

とてもわかりにくいんです。

こういう文章の意味を、
正確に伝えるのに、

もっとも重要なのが、
「間」とアクセント、なんですね。

では具体的に、
間で意味の違いを表現するとはどういうことなのか、

ご説明していきます。

例えば、会社法第262条では、

譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、その有する譲渡制限新株予約権を他人(当該譲渡制限新株予約権を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限新株予約権を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

一文がこんなふうに
つながってしまっています。

会社法の条文は、
簡単なものでも、こんな感じなんです。

これを
間とアクセントを駆使して、

意味を正確に伝えるには、
どう読むべきなのでしょうか。

さきほど述べた、
ニュアンス的な気持ちの間・区切りは、ここでは省略するとして、

大きい間を
「○」3つで、

掛かるニュアンスのアクセントを、
掛かる(┌)、区切る(┐)で表してみますと・・

譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、(┐)○○○

その有する譲渡制限新株予約権を(┌)○○
他人○(当該譲渡制限新株予約権を発行した株式会社を除く。)○
(┌)に譲り渡そうとするときは、(┐)○○○

当該株式会社に対し、(┌)○○

当該他人が当該譲渡制限新株予約権を取得することについて(┌)○
承認をするか否かの決定をすることを○○

請求することができる。

私なら、
こんな感じに間を取りますね。

意味のつながりの度合いによって、

切り離しても大丈夫なところは、
しっかり空白を作り、

区切らないと、
一息では読み切れないところでは、

短い間を取りつつ、
意味はつながっていますよ、という意図の、

掛かるニュアンスのアクセントにしています。

それに加えてさらに、
「当該〇譲渡制限(┌)新株予約権」などの長い複合名詞も、
意味の区切りを入れながら読む必要がありますね。

法律はそもそも論理的なものですから、

ブロックで分ければ、
本当はとてもわかりやすいはずなのです。

構造だけで表せば、

「誰々は、

こういう時は、

誰に、
何を、

こうすることができる。」

ってことですよね。

これに、さまざまな修飾語がくっつくことで、
長くてわかりにくくなってしまっています。

間とアクセントは、

わかりにくい文章を、
そのまま音にしなくてはいけない時でも、

意味の違いを
明確にする手段として、

もっとも有効なんですね。


区切り方が間違っているということは「理解していない」ということ

ということは、
逆に言うと、

普段から、
意味が伝わらない症状を抱える話し手は、

間や、
意味の掛かりのニュアンスなどのアクセントを、

あまり上手に
使えていない可能性が、考えられます。

あるいは、

意味や
話の構造を、

実は根本からは理解していない、

ということも、
あるかもしれません。

間やニュアンスを意識しようとすることで、

それが、
話の内容の、

根本理解につながりますから、

普段の会話から、

間の取り方、
意味の区切り方に注意をする話し方を心がけると、

意味が明快に伝わる話し方が
会得できるかもしれませんね。

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