聞きごたえのある表現をするには

前回記事からの続きです。

まずは聞き手に対して、
この話を理解してもらうために必要な情報を与えて、
認識を共有できるような話、前振りをしました。

このあと坂道を大量のオレンジが転がるわけですが、
それをどう描いていくか・・

応用ができそうなお話にしてみますね。

「そのてっぺん辺りを歩いていたら、
すぐ隣で、

ドガーンって!!

何だと思って見ると、

スーツ姿のオジサンが、つまづいてすっ転んで、
こんなポーズで!!」

その場所が坂道のてっぺん辺りであることは、
まず知っておいてもらうべき情報ですよね。

このあと、
オレンジが転がるんですからね。

そして、
ドガーン、は擬音語です。

どんな説明の言葉を繰り出すよりも、
それより先に、擬音で表現することで、

何があったの!?
という関心を集めることができるわけです。

さらに、
転んだオジサンの状態も、

あえて言葉で表現せず、
ポーズで見せてみました。

これによって、
話が立体的になりますし、

面白おかしく話を聴かせるには、
こういう動作も効果的ですよね。

視覚でも聴衆を刺激しているわけです。

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言葉・話を選ぶセンス

ちなみに、
このときのポーズは、ご想像にお任せしますが、

大事なのは、

地名は説明しないのに、
オジサンのポーズは説明する、

この選択眼とでもいいましょうか、
話を選ぶセンスです。

 

「で、
そのオジサンの指差す方向には、

コロコロコロコロ~

20個ぐらいのオレンジが。


うわ~
こういうの、テレビで見たやつだ~って。


コロコロコロコロ、
ゴインッ、ゴインッ!


一緒にみかんの缶詰も転がっていって、
もう大変で。

ときどき
ゴッン、ゴンゴン

缶詰が路肩のコンクリートにぶつかったり、

後から落ちたみかんの缶詰に加速度がついて
先に落ちたオレンジとみかんのデッドヒート!」

転がった、と言わずに、
コロコロ・・で言い表し、

そのコロコロの数の多さで、
20個ぐらいを想像させようという意図があります。

また、
コロコロっという擬態語を使ったのは、

後に続く、
ゴインッの伏線でもあります。

コロコロゴインッって言われたら、
ゴインって何?!

って聞きたくなりますよね。

その後の、
ゴッン、ゴンゴンもそうで、

そういう不明な擬音擬態語の後には、
聞き手からの
ツッコミや質問を受ける余白を設けたりします。

オチが無くても話は盛り上げられる

この話の結果が、
どうなったかは、

あえて書きません。

実は単にこの瞬間を見送っただけかもしれませんし、
オジサンと一緒に拾いに行って、

結局坂道のふもとまで戻ってしまったとか、

あるいは、
そのオジサンはオレンジの訪問販売で、

拾ってあげたのに、
最後に売りつけられた、かもしれませんが、

そんなオチなどなくても、

途中の過程を、
聞き応えのある表現で語ることができれば、

充分盛り上がるんですよね。

上の例では、
オチは特にないことを想定して、

途中の聞かせどころを、
表現で膨らませることで、

ひとつの軽いお話に仕立てたわけです。

なるほど!

経験を、語れる話に熟成させておく

いかがでしたか?

そんな話、
すぐには出来ないよ!

と思うかもしれません。

オレンジとみかんの缶詰は、
滅多に坂道を転がりませんからね。

ただ、
以前も記事に書きましたが、

人は誰でも、
その人だけの経験をしながら生きていくわけですから、

あとは、その経験を、

語れる話として
熟成させているかどうか、

だけの違いなのです。

そういう話を
対外的にできるかどうかは、

人柄、人間性など、
その人の本質的な部分には関係ないかも知れません。

しかし、

どんな話を持っているか、
どう話すことができるか、というのは、

他人から見た、
その人の印象を決定すること、

つまり、目鼻立ちや、体型と同じく、
その人の外観を形成しているのも同然なのですね。

だからこそ、

何度か話して、
良い話に練り上げておくことが大事であり、

そんな時に、
少しでも繊細かつ大胆な表現ができるよう、

試してみていただきたいんですね。

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